(891)薔薇園に入るほかなき薔薇の径/津高里永子(1956年~)
つる薔薇(ばら)のアーチに見とれながら中に入ると、赤やピンク、白やほのかな黄色など、色とりどりの花が咲き誇っています。薔薇園はさまざまな品種を観賞することのできる庭園のことです。この句では入り口までの道も薔薇に彩られ、人々を中へと誘っていました。「径(みち)」は小道という意味を含みます。両側に薔薇…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。