(889)地震のことどこか心に青き踏む/深見けん二(1922~2021年)
この句の「地震」は東日本大震災のことだが、その後も日本では大きな地震が続いている。「青き踏む」は、春の野山の青草を踏んで遊ぶこと。もとは中国の風習で、墓参の後に桃や李(すもも)の咲く中で酒宴を楽しんだようだ。そんな心浮き立つ遊びをしていても、ふと大震災のことが頭をよぎる。さらには地震だけでなく、生…
関連リンク
- ・(888)初節句抱けどあらがふこと覚え/仙田洋子(1962年~)
- ・(887)山國の蝶を荒しと思はずや/高浜虚子(1874~1959年)
- ・(886)この茂り戦車隠してゐはせぬか/仲寒蟬(1957年~)
- ・(885)水の惑星なるよ田蛙鳴きたてば/鈴木貞雄(1942年~)
- ・(884)男らの藤七温泉雪残る/坪内稔典(1944年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。