(904)ひだる神憑(つ)く前に喰(く)ふ一夜鮨(すし)/堀本裕樹(1974年~)
紀伊半島の熊野が彷彿(ほうふつ)とする句集である。「ひだる神」は、山中で人を急に空腹にさせるという神で、取りつかれると疲労や麻痺(まひ)で倒れてしまうという。その際の対処は何か食べることで、そのため昔の人は山で弁当を一口だけ残しておいたそうだ。きっと低血糖や脱水の予防のための言い伝えだろう。「一夜…
関連リンク
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- ・(902)夏の夜の至福大きなバスタオル/阪西敦子(1977年~)
- ・(901)夏は風ギンドロの葉の喝采の/照井翠(1962年~)
- ・(900)薊までおむつのとれた尻軽く/神野紗希(1983年~)
- ・(899)口中にミント一粒大青野/井上弘美(1953年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。