(901)夏は風ギンドロの葉の喝采の/照井翠(1962年~)
ギンドロ(銀泥)は、別名ウラジロハコヤナギ。葉の裏に白い綿毛が密生し銀白色に見える。風にそよぐと、葉の緑と裏側の銀白色がキラキラと輝き美しい。さわさわと揺れる音もする。作者はそれを「喝采」しているようだと感じ、この風こそが夏なのだと言う。句の末尾の「の」は、また上に戻り、繰り返す葉の輝きのようだ。…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。