(909)まつしろに花のごとくに蛆湧ける/高柳克弘(1980年~)
今回の句は苦手な方はごめんなさい。ハエの幼虫である蛆(うじ)を読んだ句です。種全体では土や水の中などさまざまな場所に生まれるそうで、不快に思うのは人間の一方的な感想ですが、やはり腐肉や生ごみなどに集まるのを見ると不潔で気持ちの悪いものと思ってしまいます。ところが、この句では真っ白できれいな花のよう…
関連リンク
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- ・(904)ひだる神憑(つ)く前に喰(く)ふ一夜鮨(すし)/堀本裕樹(1974年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。