(910)とめどなく水の花びら湧くいづみ/落合水尾(1937年~)
泉から次々と湧いてくる水を「花びら」と表現した。池や沼はくぼ地に水が自然にたまった所で濁りがあるが、泉は地中から湧き出て流れているのでそのまま飲めるほどきれいだ。この句で思い出したのが、チェルノブイリ原発事故の後に、汚染された村に数十人の老人と一人の青年が残り暮らす記録映画のこと。そのよりどころと…
関連リンク
- ・(909)まつしろに花のごとくに蛆湧ける/高柳克弘(1980年~)
- ・(908)白玉の出て縁側に座を移す/永瀬十悟(1953年~)
- ・(907)今生に白眉いただく涼しさよ/大石悦子(1938~2023年)
- ・(906)老鶯やはなればなれにゐる夫婦/石寒太(1943年~)
- ・(905)蟻が蟻銜(くは)へて急ぐ雨催ひ/山田桂(1947年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。