閉じる

空襲で焼失した仙台城大手門 くぎや飾り金具発見 東北大「正確な復元につながる」

大手門に使われていたとみられるくぎや装飾用の金具など

 東北大災害科学国際研究所の佐藤大介准教授(日本近世史)らは2日、1945年7月の仙台空襲で焼失した仙台城大手門に使われていたくぎや飾り金具などが見つかったと発表した。焼失前、門に付けられていた菊や桐(きり)の紋が、創建当時になかったことを示す新史料も発見。門を正確に復元する手掛かりになると意義を強調する。

 見つかったのは、くぎや花形の飾り、直径約19~28センチの半球型の「くぎ隠し」など計16点。三つの木箱に分けて収められ、箱の一つには「通称大手門・昭和廿(にじゅう)年戦災焼失」と記されていた。

 新史料は菊の紋を写し取った縦123センチ、横83センチの拓本。仙台城本丸御殿にあった木製の紋を写したとみられ「明治20年代に本丸の紋を模して、大手門に新たに菊と桐の紋を付した」という説明書きが添えられている。説明書きは1912年11月の日付が入っており、城の価値を高めるため、紋が後から付けられた可能性があるという。

 いずれも2023年11月、歴史資料の調査法を学ぶ学生実習の一環で、佐藤准教授らが仙台市内で行った調査で発見した。調べたのは市内の収集家、故梅津幸次郎さんのコレクション。見つかった金具類は今年5月、市保管の文献記載の図と照合するなどし、実物と結論付けた。近く一般公開を予定している。

 大手門は戦前、国宝に指定され、市教委が36年度の復元を目指している。市教委の調査では、大手門の礎石跡も見つかっている。

 佐藤准教授は「金具の形状や装飾を把握でき、正確な復元につながる発見だ。今後材質の特定も進め、加工技術や仙台藩の材料調達方法についても探りたい」と話した。

仙台城本丸御殿に飾られていた菊の紋を写し取ったとされる拓本

関連リンク

関連タグ

最新写真特集