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神仏分離、東松島にも影響 郷土史講演会 仙台藩の動き探る

神仏分離の影響を解説する木村氏(奥)

 「仙台藩の神仏分離」をテーマにした郷土史講演会が6月29日、東松島市小野市民センターであった。仙台郷土研究会役員の木村紀夫さん(石巻商高卒)が講師を務め、明治初期に起きた仏教排斥運動「廃仏毀釈(きしゃく)」が石巻地方をはじめとする仙台藩にもたらした影響を説いた。

 木村さんは「神仏分離政策の影響を最も強く受けたのが修験道だ」と強調。幕末に18万人いたと言われる修験者(山伏)は、各村で道場を設置し加持祈祷(きとう)を行っていたが、還俗(げんぞく)を命じられたことを紹介し「生活に密着した信仰の禁止は住民にとっても痛手だった」と指摘した。

 伊達家は他藩より修験に力を入れ、要所に修験寺を置くなど民衆統治に利用していたと解説。「修験は全国を歩いて情報を集めた。早馬よりも早いと言われ、藩の重要な情報源になっていた」と述べた。

 東北の在来信仰で大きな位置を占めた羽黒山や湯殿山は表向き神社になったことを説明。東松島市で改称された神社として須賀神社(矢本)、万宝院(大曲)、新山神社(大塩)などを示した。

 その上で「明治政府の神道中心の国づくりは、わずか数年で貴重な文化財を失わせ、『神も仏も』という民衆の信仰心を壊した。歴史を学び、郷土に誇りを持つ若者を育てたい」と語った。

 講演会は東松島市郷土史友の会が主催し、会員ら約40人が聴講した。

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