参拝客グルメ【特集】門前町 巡る 探る
門前町にうまいものあり。古来人々の信仰を集める寺社の周辺は、土地の名物や手頃な食事を出す店が軒を連ねて参拝客のおなかを満たしてきた。そんな門前町グルメの“今”を探ろうと、宮城県内2つの門前町を巡ってみた。
■塩釜エリア 巡る 探る■
創建1000年を超えるといわれ古くから崇敬を集めた塩釜神社。その門前町は、神社とともに歴史を紡いできた老舗と、新たに仲間入りして街を彩るニューフェースが混在する注目のエリア。気の向くままに散策を楽しもう。
専用グラスでほろ酔い気分 ~浦霞 酒ギャラリー~
門前町に映える風格ある酒蔵。代表銘柄「浦霞」で知られる1724年創業の佐浦は、「御神酒酒屋」として塩釜神社に清らかな酒を納めている。
真っ白なのれんをくぐるとそこは、日本酒好きにはたまらない「浦霞 酒ギャラリー」。浦霞各種のほか、宮城在住作家が作る酒器、袋物や手拭いなどのオリジナルグッズを販売する。
ここではぜひ「きき酒」を。専用グラス(冬期はおちょこ)を400円で購入すると、その日のお薦めから好きな3種類を飲み比べできる(2種類なら300円)。限定商品やぜいたくな大吟醸も試せて、お得にほろ酔い気分を楽しめる。次回来店時、専用グラスを持参すると100円引きになる「リピーター割」があるのもうれしい。
塩釜市本町2-19
営/10:00~17:00
休/日曜(イベント開催時などは営業する場合もある)
TEL022-362-4165
代々受け継ぐ自慢のだんご ~おさんこ茶屋~
売り切れ必至、名物だんごの老舗。自家製こしあん、福島県産オニグルミをすりつぶしたクルミなど、あんの評価も高いが、1番のこだわりはだんごそのもの。米粉を練る一般的な製法ではなく、羽釜で炊いた米をついて作るから、米の甘みや香りが生きて食感も滑らかだ。宮城県産米100%で、添加物や砂糖などの副原料も一切使わない。
宮城県産みやこがねもち100%の餅も柔らかくきめ細やかと評判の一品。人気の「づんだ餅」は、枝豆をすりつぶすところから手作りしている。
約300年続く家の11代目、鈴木雄三さん・志津子さん夫妻が二人三脚で先代の教えを守り続ける。翌日には硬くなるため「賞味期限当日」としたのは、「本物を食べてほしい」という思いの表れだ。
塩釜市本町11-12
営/9:00~15:00(売り切れ次第終了)
休/不定休
TEL022-362-0946
※現在は持ち帰りのみ対応
価格は店頭で確認を
馬肉の魅力 宮城に広めたい ~奥津軽中泊産馬肉専門店 馬神-MEGAMI-~
今年4月下旬にオープンし早くも人気店となりつつある馬肉料理専門店。青森県中泊町で親族が営む牧場で健やかに育った馬の肉のみを扱い、多彩なメニューを提供する。臭みがなく柔らかで、脂肪が少なく、かむほどに口の中に広がるうまみが特徴だ。
定番の馬刺し丼(1870円)や馬ユッケ丼(1370円)のほか、生食用の肉をバーナーでさっとあぶり甘みを引き出した「馬肉炙り定食」(2200円)、ホロホロに煮込んだすね肉の味わいが溶けこんだ「カレーライス」(990円)などが人気。
オーナーの東海林薫さんは「馬肉の魅力を宮城にも広めたい」と意気込む。冷凍肉各種や青森県の有名たれメーカーが作る店オリジナルの馬刺し用たれも販売。東海林さんによると、卵かけご飯のたれとして使っても抜群だとか。
塩釜市本町3-11
営/11:00~20:00
休/火曜
TEL080-6472-2388
■定義エリア 巡る 探る■
仙台市西部の山中に、「定義さん」の愛称で親しまれる浄土宗極楽山西方寺がある。周囲には、飲食店や土産物店が並びコンパクトで楽しい門前町を形成している。爽やかな風も心地よく、残暑から逃れるにはぴったりのお散歩コースだ。
古民家活用 多彩なメニュー ~はやとみ~
築約90年の古民家を活用した店内は、開放的で居心地最高。「ぶっかけセット」(1500円)は、定義名物の三角油揚げや大根おろしなどがのった冷たいそばかうどんに、特製味噌を塗って焼いた大きな「やきめし」、小鉢、デザートが付く。ほかにも麺類や甘味などメニューは豊富だ。
参拝客向けの旅籠から始まった「はやとみ」を、櫻井浩さん・淳子さん夫妻が引き継いだ。「ありきたりのお土産品ではないものを」と、自ら買い付けた雑貨も販売する。
店の前に置かれたベンチでは、参拝客がテイクアウトの「玉こんにゃく」(150円)などを手に一休み中。単品の「やきめし」(280円)や「ピリ辛青唐辛子やきめし」(330円)を頬張る人も多い。門前町の情緒あふれる風景だ。
青葉区大倉上下7
営/11:00~16:00(食堂は11:00~LO15:00)
休/不定休
TEL022-393-2146
手作り熱々 「味変」もお勧め ~定義水餃子 美味屋~
足しげく通うファンも多い水餃子の専門店。中国黒竜江省出身の佐々木明美さんが、「景色も人も大好きな」定義エリアに2年前にオープンさせた。
皮は北海道産強力粉100%で手作り。タネは国産豚ひき肉とニラに、鶏ガラや豚骨を長時間煮出したスープを練り込む。1つ1つ手で包み、注文が入ってからゆで上げる。熱々を口にすると、もっちりした皮の中からうまみたっぷりの肉汁とスープがあふれ出す。
おいしくて感動していると、「私のお母さんから受け継いだ味だよ」と佐々木さん。ほかに「スープ餃子」もあり、ともに6個入りで500円。自家製ラー油、酢をかけて「味変」すれば、ぺろりと食べられる。
青葉区大倉上下8-1
営/10:30~16:00
休/不定休
TEL022-748-7806
こだわりのスープに大満足 ~門前喫茶 Norah(ノラ)~
洗練された空間でくつろぎの時間を過ごせるカフェ。三塚和将さん・るみさん夫妻が、自分たちが納得する食材にこだわり7年前にオープンさせた。毎朝焙煎する新鮮なコーヒー、上質な塩だけで野菜本来の味を引き出したスープ、平飼い卵を使いベーキングパウダー不使用のケーキなど、全て丁寧に手作りする。
看板メニューの「たっぷりスープと自家製パンのセット」(1400円)は、2種類から選べるスープに、シンプルで味わい深いパン、サラダ、スイーツが付いて大満足の内容。スープは季節により変更。店のインスタグラムで確認できる。
ホットドッグ(500円)など多彩なテイクアウトメニューも魅力。焼き菓子やコーヒー豆、センスの良いクラフト雑貨が並ぶショップも併設する。
青葉区大倉堤沢23-3
営/11:00~16:00
土・日曜、祝日10:00~16:00
休/月・火曜
TEL022-302-4932
(河北ウイークリーせんだい 2024年8月22日号掲載)
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