石巻地方の工場探訪(7・完) ミツワ製氷冷蔵(石巻市魚町1丁目)
<魚の鮮度保持、流通貢献>
型枠を機械で釣り上げて傾けると、柱状の氷塊が滑り出た。氷は石巻港で水揚げされた魚の長距離輸送で活躍し、「魚のまち」の屋台骨を支えている。
工場内で作る「ナノバブル水」が鮮度保持の秘訣(ひけつ)だ。窒素を含む極小の気泡は、魚の表面や体内の酸素を包み込み、腐敗につながる細菌の活動と増殖を防ぐとされる。
ナノバブル水を原料に大型の「角氷」を1日50トン生産する。マイナス12度の専用液で満ちたプールを使い、空気が入らないようにかき混ぜながら48時間かけて凍らせる。1日150トン作る小型の「プレート氷」は24時間販売。水揚げの盛んな時期は、運送業者のトラックが工場周辺に列を作る。
最大3000トン以上を保管する貯氷倉庫は、天井まで積まれた角氷が壁面を覆う圧巻の光景だった。室内はマイナス8度。半袖で入室すると、外気との温度差に身が縮んだ。
「流通時の鮮度保持という、ある種の公共を担っている」と粟野豊社長(72)は自負する。「産地間競争に勝ち抜き、県外や都内で『石巻の魚はいいね』と思ってもらえるよう、地域産業に協力したい」と力を込めた。
(漢人薫平)
■メモ
ニチレイ石巻工場の施設を取得し、2004年に創業。東日本大震災では津波で1階のコントロール設備が全壊した。ピロティ構造のため2、3階の被害は少なく、約3年で震災前の規模まで復旧した。殺菌海水を使ったナノバブル低酸素海水なども手がける。合同会社ミツワと合わせ、従業員は9人。石巻市魚町1丁目26の2。0225(22)6621。
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1次産業から宇宙まで、石巻地方には地域や全国のさまざまな産業を支える工場が多数立地する。職人技や最新設備が詰まった工場内部を巡った。
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