(997)小説の空白行を鳴く蟋蟀(こおろぎ)/村井沙紀(2006年~)
小説を読んでいる。その時、ふっとこおろぎの音が飛び込んできた。内容はただそれだけのことだ。むろん、こおろぎは以前からずっと鳴いていたのだが、没入していた世界に裂け目のように現れた空白に、外界の音が流…
関連リンク
- ・(996)御来迎(ごらいごう)彼の世の我に手を振りぬ/広渡敬雄(1951年~)
- ・(995)束ねるに短き髪よ涼新た/越智友亮(1991年~)
- ・(994)鹿鳴いて峠に星のあつまりぬ/亀井雉子男(1946年~)
- ・(993)西瓜切る少年兵のいない国/神野紗希(1983年~)
- ・(992)火のなかのものよく見えてちちろ虫/大木あまり(1941年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。