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東北の不同意性交罪認知件数、前年の2倍以上に増加 1~7月、法改正で処罰対象が明確化

 東北6県で1~7月に認知された不同意性交罪の件数が、前年同期と比べて2倍以上に増えていることが、警察庁のまとめで分かった。昨年7月の刑法改正で強制性交罪から変更され、同意のない性的行為の処罰対象が明確化したことが背景にあるとみられる。
わいせつ罪も
 警察庁によると、1~7月の不同意性交罪の認知件数は東北6県で計166件。前年同期の70件から2・4倍と大幅に増えた。

 県別の認知件数はグラフの通り。青森は40件で前年同期の11件から3・6倍と跳ね上がった。岩手が26件(前年同期8件)、宮城は57件(同31件)、秋田12件(同5件)、山形6件(同3件)、福島25件(同12件)で、いずれの県でも大幅増となった。

 不同意わいせつ罪の認知件数も増加しており、東北6県では計275件。前年同期の165件から110件増えた。

 全国的にも性犯罪の認知件数は増加傾向で、刑法改正が要因とみられる。昨年7月、強制性交罪などは不同意性交罪、強制わいせつ罪などは不同意わいせつ罪に変更された。これまでの暴行や脅迫された場合に加え、アルコールや社会的立場の悪用など8項目を明記し、それぞれの状況で同意しない意思の表明が難しいケースを処罰対象とした。

 かつて性犯罪の立件には告訴が必要で、被害者の重い負担となっていた。2017年の刑法改正で「親告罪」の規定が撤廃され、非親告罪となるなど、性犯罪の根絶に向けた環境整備が進んでいる。
相談しやすく
 宮城県警捜査1課の担当者は、認知件数の増加が治安の悪化とは考えていないとの認識を示し「被害者が相談しやすい環境になっていることは感じる。被害相談や被害届を速やかに受理するなど積極的に捜査をしている」と明かす。

 不同意性交罪の認知件数が3倍以上に増えた青森県警の担当者は「認知件数が増加したとしても、被害者の心情に配慮して捜査する姿勢は変わらず対応している」と話す。

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