福島・川内にクラフトジン蒸留所が完成 宇都宮から移住の男性「香りで福島と世界をつなぐ」
福島県川内村にクラフトジンの蒸留所「naturadistill(ナチュラディスティル)川内村蒸留所」が完成した。大学進学をきっかけに宇都宮市から福島県に移住した大島草太さん(28)=田村市=が営む。「香りで福島と世界をつなぎたい」と挑戦の一歩を踏み出した。(福島総局・高木大毅)
第1弾となるジン「固有種蒸留酒」は針葉樹セイヨウネズの果実ジュニパーベリーのほか、4種の日本固有植物で香りをつけた。
川内村など県内各地で集めたカヤの実のかんきつを思わせる香りをメインに、静岡県沼津市産のタチバナの実を加え、会津地方産のニオイコブシとクロモジの甘くスパイシーな樹木の香りでバランスよく仕上げた。
福島大在学中に川内村の自然に魅了された大島さん。地元の自然を詰め込んだジン造りは、在学中に滞在したカナダで「(東京電力福島第1原発事故の)福島は人の住むところなのか」との言葉を投げかけられ、イメージを変えたいと志したことが原点だ。
在学中に、川内村産そば粉を使ったワッフルの販売を開始。卒業後には田村市のクラフトビール醸造所で経験を積む傍ら、摘果したリンゴやモモを使ったハーブティーの開発に取り組んだ。
来年2月にレストランバーもオープン
ジンは酒造りの中でも表現の幅が広く輸出のハードルも低いことに着目し、約2年前から準備を進めてきた。蒸留所は空き家になっていた川内村中心部の薬店の倉庫を改装。来年2月には、村の食材を使った料理とジンのペアリングが楽しめるレストランバーも2階にオープンさせる予定だ。
大島さんは「海外の人がおいしいジンを調べたらたまたま川内にたどり着くような自信作ができた。たくさんの魅力がある福島に来たいと思ってもらえるような取り組みにしたい」と話す。
固有種蒸留酒は500ミリリットルで4980円。蒸留所や自社ウェブサイトのほか、県内外の酒販店で今月20日から販売予定。
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