アクセンチュアATC仙台(仙台市青葉区)
ショクバ訪問/柔軟な働き方 成長促す
(※記事内容は2024年12月25日時点のものです)
49カ国に拠点があり、社員は約74万人。アクセンチュアは世界中にネットワークを持つ総合コンサル企業だ。アドバンスト・テクノロジーセンター(ATC)仙台は、データや人工知能(AI)の活用に強みを持つ拠点として昨年、仙台市青葉区花京院に開設。今年6月、青葉区中央の再開発ビル「アーバンネット仙台中央」に移転させた。
17階にあるオフィスは、ソファや椅子の配置がユニークな談話室と、機能的にブースを配した業務スペースが連なる。シンプルな色調で統一され、社員たちは「オンとオフの両方とも、くつろいで過ごせる」と口をそろえる。
外資系企業には長時間労働のイメージを持たれがちだが、残業廃止など働き方改革も推進してきた。1歳の長男を育てるテクノロジーコンサルティング本部の宮武陽子さん(27)は「フレックス制勤務も可能で、安心して子育てができる」と話す。
コンサル業界は人材育成の成否が命運を握る。資格取得に必要な研修は業務として認められ、自社制作の動画教材も充実している。「社員を育ててくれる職場だと感じる」とテクノロジーコンサルティング本部の木下朝香さん(30)。「期待に応え自分のスキルを伸ばしたい」と意欲を燃やす。
キャリアアップを目指し、海外の従業員も国境を越えてくる。中国・大連出身の林業(りん・ぎょう)さん(40)は中国法人で日本企業向けプログラムを開発し、さらに高い技術を身に付けようと7月に来仙した。「優しい仲間にも恵まれ、楽しく働いている」と満足そうに話す。
地域に根差す拠点施設を目指し、すずめ踊りへの参加など地域活動も活発だ。シニア・マネジャーの鈴木鉄平さん(46)は「若者が東京ではなく、宮城で働きたくなるような職場に育てていきたい」と夢を描く。
いんたびゅ~/菊地文人センター長/データ活用で企業支援
-仙台市に拠点を構えて1年半がたちました。手応えを聞かせてください。
私を含めて数人で始まったATC仙台ですが、東京や大阪など各拠点からの受け入れや中途採用で徐々に増やし、200人規模に近づいてきました。中国やインドなど海外拠点からも「日本で働きたい」という人材が集まっています。
私たちはATC仙台を、データ活用の拠点として日本一にしていきたいと思っています。東北地方の大学生や社会人の採用を強化し、グローバルでありながら地域に根ざした事業所として成長させていきます。もちろん、東北地方以外でもデータ活用に興味がある方は、ぜひ我々の仲間になってほしいと思っています。
-11月には宮城県富谷市や東北大、宮城大などと産学官連携組織を発足させました。
宮城県と6月にデジタル・データ活用推進に向けた連携協定を結び、初めての実証ケースとして富谷市ともタッグを組ませてもらうことになりました。
産業が失われると、おのずと地域の定住人口も減っていきます。私たちのプラットフォームを活用して地元企業や進出企業へのデジタル支援に取り組み、製造業の集積を後押ししていきます。同時に、働く人が地域に定着してもらえるようデジタルによる住民サービス、教育水準の向上に取り組んでいきます。
-宮城県内で次世代教育に力を入れていますね。
定住には教育の要素が欠かせません。将来を担う小中高生に向けて、プログラミングやデータサイエンスの出前授業を展開しています。学術的なデータサイエンスは教科書で学べても、データに基づいて将来を予測したり、商品の値付けのメカニズムを考えたり、実際の課題をどう解くかは、ビジネスの要素がないと簡単には導けません。
グローバルなビジネスで培った蓄積を持つアクセンチュアだからこそ、地域の発展に果たせる役割があると信じています。
【代表略歴】
きくち・あやと 1976年仙台市生まれ。仙台二高、東北大大学院工学研究科(建築学科)修了。2002年アクセンチュア日本法人入社。デジタルコンサルティング本部マネージングディレクターなどを経て23年6月より現職。趣味はランニング、すずめ踊り。
【企業概要】
アクセンチュアはデジタル技術を中核に据えて、顧客の変革を支援する世界最大級の総合コンサル企業。日本法人(東京)が23年6月、仙台市に開設した拠点「ATC仙台」は、企業のデータ、AI活用を促すソリューションの開発や人材育成を担うほか、中小製造業の生産性向上に向けたデジタル共通プラットフォームの展開、自治体サービスの高度化を図るデータ連携基盤の普及などに力を入れる。今年6月、宮城県とデジタル・データ活用に関する連携協定を締結した。
社名は「accent on the future(未来へのアクセント)」から取った造語。
■本社所在地 仙台市青葉区中央4の4の19アーバンネット仙台中央ビル17階
■電話 022(263)1800
■従業員 日本法人全体で約2万5000人