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白神山地の「乳酸菌」でパンつくりました!! 弘前大とラビプレ共同研究、工藤パンが開発

乳酸菌の粉末を手にした前多准教授(左端)と製品化したパンを持つ工藤会長(左から3人目)=青森県弘前市の弘前大

 秋田、青森両県にまたがる世界自然遺産「白神山地」から採取した乳酸菌「白神の森乳酸菌®L8菌株」(L8菌株)を使ったパンが今月、工藤パン(青森市)から発売された。肝機能の改善なども期待される新商品。関係者は「乳酸菌をさまざまな食品に使い、青森県内の産業活性化に役立ちたい」と意気込む。

しっとり軟らかく、肝機能改善も期待

 弘前大と化粧品製造のラビプレ(青森県弘前市)が共同研究し、工藤パンが開発した。販売を始めたのは食パンとコッペパン。1袋当たりで食パンは50億個、コッペパンは100億個のL8菌株を含む。

 L8菌株は2017年、弘前大農学生命科学部の殿内暁夫教授(微生物学)が弘前大の白神自然観察園(同県西目屋村)で発見。白神山地に自生するキハダとブナの葉から分離に成功した。植物から乳酸菌が見つかる例は珍しい。

 前多隼人准教授(食品科学)が動物で機能性を試験し、L8菌株を投与したマウスで肝機能の改善を確認した。腸内機能の向上も期待できるという。

 弘前大とラビプレが昨年6月に機能面と培養法に関し特許を取得。「白神の森乳酸菌(R)」をブランド名にした。弘前大はリンゴジュースや麺類などとのコラボも検討する。

 前多准教授は「健康維持に役立つ成分を含む。手軽に食べられるパンにより、平均寿命が全国ワーストの短命県青森の汚名を返上したい」と話す。

 工藤パンは年度内に第2弾の商品を発売する予定。売上金の一部は弘前大を通じて白神山地の環境保全と研究費に活用される。

 試食会に参加した農学生命科学部4年の中塩尚哉さん(22)は「パンがもちもちして香りが立っておいしい」と語った。工藤パンの工藤恭裕会長は「乳酸菌の効果で、しっとりと軟らかく、トーストにすると一層おいしさが際立つ。世界遺産ならではの商品として販売したい」と力を込める。

 パンは今月4日から、青森県を中心に岩手、秋田など各県の量販店で販売している。

白神の森乳酸菌を使った新商品
「白神の森乳酸菌」を使ったコッペパンを試食した学生

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