「この国の闇を見たよう」新聞労連大賞に河北新報の寄付金還流疑惑報道
新聞労連は23日、平和・民主主義の確立や言論の自由に貢献した記事をたたえる第29回新聞労連ジャーナリズム大賞の表彰式を都内で開いた。河北新報社は福島県国見町に関する「『企業版ふるさと納税』の寄付金還流疑惑に関する一連の報道」で大賞を受賞した。
報道は2023年2月の初報から、町で発覚した企業版ふるさと納税の「寄付金還流」疑惑を追及。税額控除の制度が悪用されている実態を暴き、国による制度見直しにつながった。
安田菜津紀審査委員は「(会社社長の)音声を独自に入手し、粘り強く報道を重ねた。構造的な問題で他自治体にも波及するなど公益性の高い報道だった」と評価した。
取材班を代表して式に出席した横山勲記者(36)は「入手した録音データの内容はこの国の闇を見たようだった。町内では公益通報した町職員の懲戒処分の対応を巡る問題が終わっていない。今後も取材を続けていきたい」と述べた。
新聞社から40作品の応募があり、大賞は他に毎日新聞の「追跡 公安捜査」、信濃毎日新聞の「鍬(くわ)を握る 満蒙開拓からの問い」の2件が受賞した。
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