(1170)花粉の日 鳥は乳房をもたざりき/富澤赤黄男(1902~1962年)
花粉の日は作者の造語だと思いますが、私は春の杉花粉がもうもうと立ち込める一日を想像しました。あるいは小さな花のイメージでしょうか。そこは読者に委ねられています。一緒に並べているのは、鳥は乳房を持って…
関連リンク
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- ・(1168)夜のさくらわれは全裸となり眠る/和田耕三郎(1954年~)
- ・(1167)水ぬるむカバにはカバが寄り添って/坪内稔典(1944年~)
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- ・(1165)手の窪(くぼ)に暮(くら)しの灰汁(あく)と花びらと/佐藤鬼房(1919~2002年)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。