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神馬像、氏子ら修復「心のよりどころ守る」 8日、例大祭 石巻・羽黒神社

修復された神馬を見つめる(左から)斎藤さん、津田さん、後藤さん=1日、石巻市針岡
修復前の神馬。脚が腐食し、耳も欠損するなど劣化が進んでいた(後藤さん提供)

 石巻市針岡地区の住民らがこのほど、地元の羽黒神社の神馬(しんめ)像を修復した。東日本大震災で被災した地区の人口流出が進む中、氏子総代が心のよりどころを守ろうと結束し、本来のりりしい姿が戻った。関係者は「きれいになった神馬を多くの人に見てほしい」と、参拝客が集まる8日の例大祭を心待ちにしている。(都築理)

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 神馬は社殿前の石段の横に鎮座し、木製で全長、高さともに1メートルほど。詳細は分からないが、明治か大正時代には境内にあったとみられる。近年は腐食などの経年劣化が進み、神社の総代らが修復を決めた。修復にかかる資材代などを氏子らが負担した。

 作業を行ったのは、同神社など6社の総代連絡協議会会長を務める斎藤忠直さん(68)=石巻市福地=。神楽面の制作に取り組んでおり、総代らが技術を見込んで依頼した。

 昨年1月に着手したが「脚4本が全て虫に食われ、片耳も欠損していた」(斎藤さん)など状態が想像以上に悪かったという。脚を作り替え、下地処理を施し漆系の塗料を何度も塗るなど作業に8カ月を要した。「漆にかぶれるなど大変だったが、皆さんに喜んでもらえて良かった」

 同神社は1185(文治元)年の創建。1819(文政2)年に現在地に移り、長年にわたり地区住民の信仰を集めてきた。

 震災では近くの新北上川をさかのぼった津波が地区内に流れ込んだ。多くの家屋が流失し、地区外での生活再建を選んだ住民も多かった。震災前は最大150戸超あった神社の氏子は現在94戸という。

 「住む人は減っても、神社をずっと守っていきたい」と力を込めるのは、総代の大工、後藤君夫さん(71)=同市針岡=。自身の腕を生かし、像が見えやすいよう神馬舎に窓を新設する作業に取り組んだ。

 神社では8日、春の例大祭が行われる。「きれいになった神馬を多くの人に見てもらいたい。地区外に転居した人にも、ぜひ見に来てほしい」と後藤さん。同神社禰宜(ねぎ)の津田恵美さん(76)=同市福地=は「みなさんの神社を大切にしてくれる思いが本当にありがたい」と話していた。

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