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垣根越えた友情、一人芝居「車椅子とポク」 石巻出身の俳優小林四十さん、熱演

一人芝居で観客の目をくぎ付けにした小林さん=5日

 石巻市出身の俳優小林四十さん(49)=東京都=の一人芝居「車椅子とポク」が5、6の両日、同市中央1丁目のシアターキネマティカで上演された。登場人物2人が垣根を越えて友情を育む物語が観客を引き込み、計3回の公演が全て満席となるなど会場は熱気に包まれた。

 「車椅子とポク」は訪問介護の現場でヘルパーとして働いてきた小林さんの体験を基にした作品。車いす生活を送るアキラと、介護ヘルパーとして派遣された中国人チョウを小林さんが一人で演じた。

 約80分にわたる芝居では、理解し合う難しさを痛感しながらも2人が懸命に向き合い、障害者と健常者、日本人と中国人という垣根を越え、信頼と友情が生まれる姿が描かれた。

 タイトルの「ポク」には、チョウが日本語で正しく「ボク」と発音できないという意味が込められている。重いテーマながらも、小林さんはコミカルなセンスとシニカルな視点で笑いを取り、観客の共感を呼んでいた。

 障害者の作品を展示する「くらら美術館」(石巻市中央3丁目)の黒田龍夫館長(73)は「扱われているテーマはリアルだったがとても温かい作品だった」と感激していた。

 小林さんは「地元の俳優や石巻と縁のある俳優たちと一緒に、いつか一人芝居のフェスティバルを開きたい。キネマティカから一人芝居の魅力、面白さを発信したい」と語った。

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