昨年10月の台風19号(東日本台風)で歴史的な豪雨被害に見舞われた被災地は間もなく、再び出水期を迎える。気候変動の影響で東北でも激甚化する水害に必要な備えや心構えは何か。治水問題に詳しい3人に考えを聞いた。
(治水のゆくえ取材班)
[高嶋哲夫(たかしま・てつお)氏]慶応大大学院工学研究科修士課程修了。日本原子力研究所(現日本原子力研究開発機構)研究員から作家に転身。著書に「ミッドナイトイーグル」など。2011年に神戸市文化賞(芸術・文学)受賞。70歳。岡山県出身。
台風19号は日頃の避難訓練や当日の情報伝達がしっかりできていれば、人的被害を減らせたとみている。台風は事前に進路や規模を知ることができ、洪水や土砂崩れの危険性が高い場所も想像しやすいからだ。
地球温暖化による気候変動で、これまでの傾向と異なる進路の台風が増えている。従来の経験値では測れない被害が現実に起きている。堤防整備など水害への防御は過去の知見だけでなく、新しい発想が求められる。
2008年出版の小説「東京大洪水」は超大型台風が東京を直撃し、荒川の堤防が決壊する物語だ。地下鉄構内に水が流れ込み、大規模な盛り土によるスーパー堤防の上に立つタワーマンションも被災する。災害時は「想定外」という言葉が使われがちだが、最大限備える努力をしたのかが問われると訴えたかった。
災害から命を守るには歴史的な事実と科学的な考え方を学ぶことが大事だ。得た知識で想像力を働かせれば、ある意味で全ての出来事が「想定内」になり、科学や技術への過信もなくなる。過去の災害写真集などで普段から具体的な被害のイメージを持ってほしい。
災害への心構えという点では、新型コロナウイルスの感染拡大も共通する。不要不急の外出を控え、マスク着用を徹底するなどの基本的な知識や行動でリスクを軽減できるのに「自分だけは大丈夫」との過信が危険を招く。台風豪雨でも事態を過小評価する「正常性バイアス」で、逃げ遅れた多くの人が亡くなった。
新型インフルエンザの猛威を描いた「首都感染」(10年出版)は今回のウイルス大流行で「予言的」とも評されるが、それは違う。(約100年前に世界的に大流行した)スペイン風邪など過去の事例に現代の人の往来事情を重ねれば、感染爆発の発生は誰でも想像できる。対象をよく知ることが備えの第一歩だ。
災害小説を書くようになったのは、阪神大震災がきっかけ。神戸市の自宅で被災し、経験を書き残しておかなければと思った。
「東京大洪水」の前作「TSUNAMI」(05年出版)で登場する自然災害研究対策庁は、全国知事会などが構想する「防災省」と同じ趣旨だ。阪神大震災を踏まえ、事前防災から災害時の初動対応、復旧復興までを一元的に担う組織の必要性を感じていた。
南海トラフ地震や首都直下地震は近い将来、必ず起こる。水害はさらに甚大化する可能性が高い。国は災害対策のコストを念のための保険でなく必要経費と捉え、国民もその支出を許容すべきだ。
東日本大震災に見舞われた東北は台風豪雨でも大きく傷ついた。災害は人間や社会の一番弱い所を突く。「生き残ることが第一」という教訓を伝え続けてほしい。東北の経験は将来、各地の大きな災害で役立つはずだ。
二つの台風の合体で発生した最大瞬間風速80メートル、半径800キロの超巨大台風「ジェミニ」が首都圏を直撃。荒川や隅田川の堤防が決壊し、海抜ゼロメートル地帯に広がる東京都心は水没の危機に陥る。首都直下地震が題材の「M8」、東海地方での連鎖地震と巨大津波襲来を描いた「TSUNAMI」に続く災害シリーズ第3作。
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