2020暮れの風景(4) 山形・大江 再開の桃の種細工

作業に当たる鴨田さん。手にした盆には500個以上の種を使っている

 忍耐の一年だった。山形県大江町の工芸品店「桃の実工房」の代表鴨田徳康さん(66)は、年の瀬も作業の手を止めない。7月末に県内を襲った豪雨で作業場が1・5メートル浸水。故障した電動工具を修理するなどして再開にこぎ着けた。

 モモの種を加工して茶筒や盆を作る。モモ産地・山形ならではの工芸品。工房は全国で唯一となる。「素材は高価な物ではないが、使い込むほどに味わいが増す」と魅力を語る。

 新型コロナウイルスの影響による観光客減少、取引先の山形市の百貨店「大沼」の閉店も重なった。打撃は大きかったが、乾燥に8年かかる種は無事だった。「今年は神が与えた試練の年」。危機を乗り越えた種に、穏やかな新年への祈りを込める。

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