<せんだい進行形>家具用ワックス、フラワースタンド… 住宅工務店が通販に挑戦

通販ショップで扱うペーパータオルホルダーを見せる牧田社長=仙台市青葉区川平の住文舎
オンライン講座の様子を見せる佐々木さん=仙台市青葉区上杉
ファニチュアヒロシが展開する「旅するインテリア」のPR画像

 住宅設計施工の住文舎(じゅうもんしゃ)(仙台市青葉区)は、オリジナル商品を扱う通販ショップを開いた。住宅工務店の通販はあまり例がない。きっかけは新型コロナウイルスの感染拡大。マイホーム需要が縮んでいく将来を見据え、自社の価値観や仕事への姿勢がより伝わるよう発信力を高めるのが狙いだという。(報道部・高橋一樹)

 昨年10月に開いたショップで扱うのは3商品。家具用ワックスは、ミツバチが分泌する蜜ろうと菜種油のみで作っており、肌に優しい。箱ティッシュが入るペーパータオルホルダー、組み立てが容易なフラワースタンドは北海道産シラカバの合板を使用。木のぬくもりを感じられる逸品だ。

 物販は初めての試みだが、利益を上げることが直接の目的ではない。牧田誠司社長(51)は「通販を通じ、家づくりへの向き合い方を違う形で発信できるようになった」と明かす。

 住文舎は1級建築士の牧田さんが2000年に設立。主に仙台市内で北欧風の住宅の設計や施工、リフォームを手掛けてきた。

 新型コロナの感染拡大に伴う政府の緊急事態宣言が出ていた昨年5月、外出自粛で注文が入らず売り上げは半減。その後は回復したが、家で過ごす時間が増えることを見越し、まだ住宅に興味がない人へのPRも強化しようと考えた。

 最初に自作のワックスを雑誌広告に載せたところ問い合わせが相次ぎ、通販ショップの構想に発展した。コンセプトやサイトの構築は国の経営相談所「宮城県よろず支援拠点」(仙台市)が協力。木工品は建築時に出た端材から制作し顧客に渡していたノベルティーがヒントになった。

 牧田さんはそれまでなじみがなかった「商品」の力を感じている。「住宅設計は要望に一つ一つ応える仕事で宣伝が難しい。商品から『丁寧に仕事してくれそう』と思ってもらえるだけで価値があり、新たな展開につながる」

 次の商品には、木製のドアに塗るオイルや作業道具をそろえたメンテナンスキットを検討中だ。

 牧田さんは「コロナ下でさらに消費が落ち込むかもしれないし、会社の魅力も『会わないと分からない』のままではいけない。ネットを活用しながら、身近なお客さんの『かかりつけ』のような店として生き残りたい」と展望する。

[メモ]住文舎のミツロウワックスは1個60グラム990円、ペーパータオルホルダーは3300円。フラワースタンドは無塗装4400円、オイル仕上げ4950円。木製ドアのメンテナンスキットはオイル2・5回分と布、はけ、手袋などをセットにして3月にも発売する。

中小事業者の改革に助言 宮城県よろず支援拠点

 住文舎の通販ショップ開設に協力した宮城県よろず支援拠点は、国が運営する無料の経営相談所。新型コロナウイルス感染拡大の影響を受ける中小企業や個人事業主の改革の手助けに力を発揮している。

 よろず拠点には中小企業診断士や社会保険労務士、デザイナーなど13人の専門家が所属し、資金繰りや商品開発、広告宣伝といった相談に応じる。「求人票の書き方」「通販の始め方」などテーマを絞ったミニセミナーも開いている。

 仙台市青葉区上杉でエステサロン「バグース」を営む佐々木千寿子さん(51)は、来店客が半減した昨年春からオンラインの活用を相談。二の腕や足つぼなどのセルフケアをしてもらうオンライン講座を始めた。

 佐々木さんは「まだ店に来づらい常連さんとコミュニケーションを続けられるようになった。いずれは新規や遠方のお客さまにも体験してもらえたらうれしい」と声を弾ませる。

 家具販売店のファニチュアヒロシ(青葉区本町)は、部屋の壁紙やカーテンを替えて旅行気分を味わってもらう新サービス「旅するインテリア」を始めた。伊藤博司代表(63)は「ウェブサイトをよろず拠点さんと一緒にリニューアルした。今後も時代に合った発想の企画を考えたい」と話す。

 新型コロナ拡大後の2020年4~11月の相談件数は、前年同期比約1・7倍の2298件。うち約75%は新たに始めたテレビ会議相談が占めた。同年9月の相談事業者へのアンケートでは63%が「成果があった」と回答したという。

 よろず拠点の佐藤創チーフコーディネーター(44)は「コロナで大変な状況だが、小さな成果の積み重ねが前向きな姿勢につながる。事業者の経営力向上にチームで努めたい」と力を込める。

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