<せんだい進行形>「未来の購入者」呼び込め 自動車販売店が学習教室に

車のポスターに囲まれたスペースで学習する子どもたち=仙台市青葉区のトヨタカローラ宮城中山店

 トヨタカローラ宮城中山店(仙台市青葉区)の店舗内に、幼児向けの学習教室「学研トヨタカローラ中山教室」がオープンした。学研は好立地のスペースを確保でき、店側は若者の車離れが進む中で家族層や「未来の購入者」に来店してもらう機会になる。仙台圏には既にカーディーラー内に定着した教室もあり、子どもの声が響くクルマ屋さんが広がりつつある。(報道部・高橋一樹)

 平日の昼下がり、カローラ中山店の商談スペース。体験受講に訪れた4歳と5歳の男の子が、テーブルに広げた解答用紙に文字やアルファベットを熱心に書き込む。「できましたー」。用紙を見せられた講師の平野房代さん(49)が「すごーい、全問正解!」と大きな花丸を付けた。

 全国で学研教室を運営する学研エデュケーショナル(東京)は、2019年からトヨタ系の自動車販売店で教室を開く。中山店は東北第1号。毎週金曜午後3~4時、オリジナル教材で未就学児に算数や国語、英語を教える。

 学研は多くの教室を住宅地に出している。手頃な土地や建物を確保できるとは限らず、大通りから離れれば認知度が低下する。

 カローラ中山店は団地に近い道路沿いで、近くに幼稚園送迎バスの停留所もある。学研教室仙台事務局の清水真智子マネージャーは「車通りの多い店舗に常にのぼりを立ててアピールできるのは大きい」と話す。学研はディーラー内教室を今後3年間で全国に約500カ所構える方針だ。

 自動車販売業界では、カーシェアリングの普及などで車を持たなくてもいいと考える若者が増えていることが近年の課題。トヨタ自動車は若い親へのアピールに加え、教室を通じて幼児にも車に親しんでもらいたいと考えている。

 トヨタ系の販売店では昨年5月、四つの系列ごとの取り扱い車種がなくなり、全店が全車種を扱うようになった。店側としては、将来的に車種以外の面でより差別化を図る必要がある。

 カローラ宮城の遠藤誠企画総務部長は「教室は親子が店を訪れるいいきっかけになる。元々ファミリー層の顧客が多く、今後も一番地域に根付く販売店でありたい」と力を込める。

 一方、ネッツトヨタ仙台(仙台市)の仙台、名取市の計3店では、ベネッセビースタジオ(東京)が英語教室を開く。青葉区の五橋店には12年にオープン。2階ショールームの一角の常設スペースに平日週3回、幼児から小学生まで約25人が時間割ごとに2、3人ずつ通う。

 ベネッセでは講師の自宅や公民館を使う教室が多く、やはりスペースの確保が難しい場合がある。ネッツ五橋教室は当初10人ほどだったが、毎年新たに通う子どもがいるという。

 小野寺慎店長は「法人顧客の多い街場の店舗ながら、教室のおかげでにぎやかになった。長い目で見れば入りづらいイメージの払拭(ふっしょく)につながり、地域貢献にもなる」と説明する。

 ベネッセはトヨタ系中心に全国約150店に教室を構える。ビースタジオ東日本教室事業部の庄子絹東日本エリア課長は「子どもが先生や親以外の大人と触れ合う貴重な社会経験の場にもなっている」と語る。

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