仙台短編文学賞 宮城・女川出身の森川さん「海、とても」大賞

「何度も書き直して完成まで半年ぐらいかかってしまいました」と言う森川さん=兵庫県西宮市

 第4回仙台短編文学賞を主催する実行委員会は、宮城県女川町出身で兵庫県在住の森川樹(いつき)さん(46)の「海、とても」が大賞に決まったと発表した。賞金30万円。授賞式は4月10日、仙台市青葉区の仙台文学館で開かれる。

 受賞作の主人公は海辺の町の観光案内所で働く20代女性。東日本大震災の津波で母が行方不明になり、自責と悔恨で10年たつ今も体験を話すことができない。だが町の語り部の人々や再起を目指す父の姿に、こわばった心が変化してゆく。

 選考委員の作家いとうせいこうさん(59)は「被災した小さな町の時間を、傷と成長を含め丁寧に描いている。ここには『被災』と『語り継ぐ困難』に関して普遍的なことが書かれており、しかも具体的なシーンによって新しい『あるべき未来』が提示されるのも小説らしい」と評した。

 他の入賞作は、仙台市長賞が本郷久美さん(62)=埼玉県=の「蛍」、河北新報社賞が時田日向さん(22)=神奈川県=の「骨」。プレスアート賞に東風谷香歩さん(33)=二本松市=の「月にかける」が選ばれた。学生対象の東北学院大学賞は茂木大地さん(22)=仙台市=の「雑踏を奏でる」、同奨励賞は川上新さん(17)=仙台市=の「正解」。

 応募総数374編。大賞と河北新報社賞の全文、選評などは3月18日の河北新報朝刊に掲載される。実行委は仙台市の出版社荒(あら)蝦夷(えみし)とプレスアート、河北新報社の3者で構成される。

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