独自緊急事態宣言 時短要請は仙台のみ 市外も苦境 線引きに疑問

人通りの絶えた多賀城市の飲食店街=26日午後7時35分ごろ

 新型コロナウイルスのリバウンド(感染再拡大)を受け、25日に始まった酒類提供店に対する時短営業再要請の対象は仙台市のみで、隣接自治体は含まれなかった。多賀城市などの飲食店への客足は、18日に県と仙台市が独自の緊急事態宣言を出して以降、激減している。地域からは「時短営業して協力金をもらった方が閉店しないで済む」と切実な声が聞こえてきた。

 時短再要請開始後、初の金曜夜となった26日午後7時すぎ。飲食店が並び、普段は会社帰りのサラリーマンなどが立ち寄る多賀城市桜木地区などの通りは暗く、人影は少なかった。
 臨時休業の店もあった。「感染拡大への対応でお休みさせていただきます」。シャッターが閉じられ、張り紙が掲げられていた。
 市内の和風居酒屋では、県と仙台市が宣言を出した途端、予約キャンセルの電話が相次いだ。計100人以上のキャンセルが出たという。感染拡大防止のため、今月末から宣言期間の4月11日までの自主休業を決めた。
 「苦渋の決断だ」と店主の男性(47)。店を開けていれば、感染拡大の温床になる恐れがある。「宣言により、県民が一丸となって感染防止に取り組むのだから、県は時短の対象を仙台市外にも広げて協力金を準備すべきだ」と訴える。
 利府町のJR利府駅近くの居酒屋「焼き処 笑家」では、宣言の後、1人も客の来ない日がある。店主の佐々木裕子さん(40)=宮城野区=は「宣言は全県なのに、時短が仙台市だけなのは生殺しだ」と憤る。
 2015年の国勢調査によると、多賀城市と利府町の15歳以上の就業者・通学者の4割以上が仙台へと通う。佐々木さんは「どう見ても生活圏は仙台市と一緒だ」と指摘する。
 仙台市外の飲食店は、昨年12月~今年2月、仙台を対象に実施された時短要請の際も、対象から外れた。多賀城市などの経営者有志でつくる団体は今月5日、県に「再度の時短要請・協力金は全県を対象としてほしい」などの要望を出していた。
 市内などで生花店を営む代表の鈴木貴資さんは「前回も苦しい思いをしたが、嫌な予感がすぐに的中してしまった。道路を挟んで(市町村が異なり)対応が異なるのはもどかしい。県には実態を見て対応を検討してもらいたい」と話した。

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