1907(明治40)年創業の料亭「懐石料理 東洋館」(仙台市太白区向山)が4月18日、閉店する。創業時の面影を残す木造建築のたたずまい、広瀬川沿いの高台から市内を一望できる眺めの良さ。かつては阿部次郎や土井晩翠ら東北大ゆかりの文学者らも通った老舗が、新型コロナウイルスの打撃を受け、114年の歴史に幕を閉じる。
東洋館は2階建ての一軒家に大小7個室を備え、季節の食材を使った日本料理を提供してきた。創業当初は平屋で、2階の67畳の大広間を設けるなど増築を重ねたが、玄関部分などは創業当時の姿をとどめる。
市中心部から向山へ向かう鹿落坂の上に建つ。眼下に広瀬川や市中心部のビル群が広がり、遠くに太平洋の水平線を望む。5代目社長の千田恵一さん(65)は「夕暮れ時、西日が当たって白いビルがピンクに見える一瞬がいいんですよ」と目を細める。窓の外をタヌキやカモシカが横切ることもあるという。
閉店を決めたのは2月初旬。「コロナにはかなわない」と千田さんは言う。感染者数の増減で客数が上下し、売り上げは5割近く落ち込んだ。昨年10月以降は持ち直し「これならば」と期待したが、感染が再拡大した12月半ばに再び動きが止まった。「目先の客がいないだけではなく、この大きさの店をどう経営していくか、ビジョンが見えなかった」
この数十年で同業者の多くが閉店する中、個室のみで、ゆったりとした空間と時間でもてなす料亭のスタイルを固持しながら、堅実な経営を心掛けてきた。コロナ禍で会社の蓄えや私財を投じたものの借り入れはない。
「融資を受けることも考えたが、料亭は斜陽産業。意地になってもしょうがない」と千田さん。従業員十数人の再就職先を探しており、建物を残す方法を検討しているという。
かつて阿部次郎が連歌の会を東洋館で開くなど東北大関係者に愛された。近年は学会で仙台を訪れる外国人のもてなしの場としても利用されてきた。婚礼のほか、お茶やお香、仕舞など趣味の集まりも多く「料亭には珍しく客は男女半々。文化や芸術を好む客が大事に使ってくれたから、ここまで持った」と振り返る。
閉店までの予約は埋まりつつあるが、夜は空きがあるという。連絡先は022(222)7019。
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