河北抄(3/31):直木賞作家の故半村良さんの作品に…

 直木賞作家の故半村良さんの作品に『嘘部(うそべ)』シリーズがある。古代から連綿と続くうそつきの子孫たちが、現代の危機にうそで立ち向かうという内容だ。
 「よく調べて書くのは、大事なウソがバレないようにする目的なんですから」。半村さんが別の著書で記すように細部にわたる設定が実にもっともらしく、素直に作品に没頭できる。
 しかし、うそは小説やドラマの世界でこそ魅力を発揮する。真偽不明の情報が身近な場で出回れば、それはデマになる。新型コロナウイルスに関しても悪質なデマが横行し、混乱に拍車を掛けた。
 確かに信じがたい現実だ。宮城県の新型コロナの新規感染者数は先月、ゼロの日もあったのに、一変。急増の要因が不明のまま、仙台市だけで100人の大台に。思わず「うそだ」と言いたくもなる。
 新年度を控え、例年より早く桜の便りが届いたのにイベント中止が相次いでいる。何やら昨春の光景と重なるようで不穏なムードが漂う。あすはエープリルフール。クスリと笑って心が和む、そんな罪のないうそだったら楽しみたい。

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