サン・ファン館、全面改修へ 復元船の解体は秋以降に

今秋以降に解体される復元船「サン・ファン・バウティスタ号」。夏まではその雄姿を見学できる
リニューアルに合わせ、ドック棟で展示する後継船のイメージ(宮城県提供)

 宮城県は本年度、県慶長使節船ミュージアム「サン・ファン館」(石巻市)の全面的な改修に乗り出す。老朽化が著しい木造の復元船「サン・ファン・バウティスタ号」の解体を秋以降に着手。繊維強化プラスチック(FRP)製で大きさが4分の1の後継船を造るほか、開館しながら展望棟やドック棟を一新する。2024年度のリニューアルオープンを目指す。
(報道部・布施谷吉一)
 関連工事は21~23年度の3カ年計画で、総事業費は約28億円を見込む。地域観光の拠点として、改めて誘客強化を図る。
 復元船は、朽ちた木材部分を解体除去する一方、マストや羅針盤といった主要部品十数点を保存し、施設内で展示する。作業は貴重な船大工の技術を後世に伝えるため、定点カメラを設置して記録映像に残す。見学会も検討する。
 ドック棟と展望棟は22~23年度に改修する。海に面したドック棟は復元船を係留するドックゲートを撤去し、跡地を埋め立て、後継船を置く。周囲には操船の体験コーナーを設置。船の東西にある展示スペースでは約400年前の大航海時代の帆船文化、使節船復元までの経緯を紹介する。
 高台にある展望棟には、支倉常長ら慶長遣欧使節団の旅程をたどる動画や仮想現実(VR)で再現した復元船の映像を流すシアタールーム、サン・ファン館が立地する牡鹿半島をPRする展示ロビーを整備する。
 県は本年度、サン・ファン館を観光や教育文化の中核施設として活用する動きを本格化させる。昨年5月施行の文化観光推進法の認定を目指し、教育旅行の誘致などを掲げた計画をまとめる方針。
 県消費生活・文化課は「使節団の偉業とともに、復元船建造の壮大な挑戦を県内外に発信する施設にしたい」と説明する。

[サン・ファン・バウティスタ号]1613年、伊達政宗の命を受けて建造された洋式帆船。支倉常長ら慶長遣欧使節団が乗り、太平洋を渡った。復元船は出帆380年を記念し、先人の偉業を後世に伝えるため建造。1993年10月に完成した。木造で全長55・35メートル、総重量約500トン、総工費16億7500万円。伝統的な造船技術を駆使し、数少ない船大工を集めて造られた。96年8月から、石巻市月浦近くのサン・ファン館で展示されている。

[慶長遣欧使節団]1613(慶長18)~20(元和6)年、伊達政宗が領内でのキリスト教布教容認を条件にメキシコとの直接交易を求め、スペイン、ローマに派遣した。大使の支倉常長、宣教師ソテロら一行が洋式帆船「サン・ファン・バウティスタ号」で出港。太平洋を渡り、メキシコを経て、スペイン国王フェリペ3世、ローマ教皇パウロ5世に謁見(えっけん)した。幕府によるキリスト教の取り締まりが強化され、常長らは目的を達成できずに帰国した。

関連タグ

河北新報のメルマガ登録はこちら
先頭に戻る