愛する夫を 店を失った苦悩、赤裸々に 気仙沼の酒店店主が本を出版

再建した店内で本を手にする菅原さん=気仙沼市新浜町2丁目のすがとよ酒店

 東日本大震災から10年の節目に、宮城県気仙沼市鹿折地区の「すがとよ酒店」店主菅原文子さん(71)が、被災後の歩みを一冊の本にまとめた。津波で夫豊和さん=当時(62)=と義父母を失った当時の悲しみや、店舗再建までの経緯を率直につづった。菅原さんは「これまで支えられた多くの人に、本を通じて感謝を伝えたい」と語る。
 伸ばし合った手が触れた瞬間、豊和さんだけが津波にのまれた時の心情や、遺体で見つかる前、行方不明の豊和さんに宛てた手紙「あなたへ」を収録。「別の生きる道を考えて」と知人に廃業を促されながらも諦めず、2016年に店舗を再建し、19年に創業100周年を迎えるまでの思いも記した。
 菅原さんが販売し、反響を呼んだ「負げねぇぞ気仙沼」ラベルの地酒を介した支援や人とのつながりも紹介。復興を期す鹿折地区の交流の場になるようにと、再建店舗にピアニスト小原孝さんからピアノが届いたエピソードも盛り込んだ。
 「無我夢中だった10年に、自分なりにけじめをつけたかった」と菅原さん。見知らぬ人の優しさにも励まされ、前に進めたと振り返り「生きる上で人との縁がかけがえのないものだと、私の10年から感じていただけたら」と話している。
 タイトルは「生かされて」。500冊を自費出版した。A5判125ページ、1500円。すがとよ酒店と宮脇書店気仙沼店で販売している。連絡先は酒店0226(22)0843。

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