復興事業の地元負担膨らむ ハード費増で宮城76億円、岩手99億円に

 政府が2016年度に東日本大震災の復興事業に一部導入した地元負担で、負担額(市町村除く)が岩手県で約99億円、宮城県で少なくとも約76億円になる見通しであることが分かった。地元負担の方針が決まった15年6月時点の両県の試算(岩手73億円、宮城50億円)に比べ、それぞれ25億円程度増えた。ハード事業費の増大が影響したとみられる。

 復興事業は15年度まで国が全額負担したが、16年度以降の「復興・創生期間」は、他の災害との公平性の観点から方針を転換。被災地に小さな市町村が多いことにも配慮し、一部の事業で県や市町村に1・0~3・3%の負担を求めた。

 これに基づき、岩手、宮城両県が当初予算や決算をベースに集計した16~20年度の負担額は表(上)の通り。福島県は未算出。

 岩手県の負担額は99億2000万円に上り、県債を発行して予算を確保した。道路整備や社会資本整備総合交付金(復興枠)を使った港湾整備などで、当初の試算より事業費が増えた可能性があるといい、「時間をかけて分析する必要がある」と話す。

 宮城県は、道路や水産基盤など26のハード事業に計75億5200万円の負担が生じ、県債で対応した。

 ただ、県は一般財源で予算化した復興交付金の効果促進事業(ソフト事業)の負担分は集計しておらず、実際の負担額はさらに増えることが見込まれる。

 県内の被災市町の負担額は表(下)の通り。石巻市の8億9000万円が最多で、仙台市の4億円が続いた。県内市町の負担額は当初の試算程度におおむね収まったのに対し、県はハード事業数が多く長期化して負担額が上振れしたとみられる。

 地元負担について、宮城県財政課は「事業規模から考えれば負担は小さい」と受け止める。岩手県財政課は「国には地方債発行で財源確保できるよう配慮してもらったものの、負担は小さくない。未曽有の災害の復興事業は全額国費が望ましい」と話す。

 復興庁は16~20年度の地元負担額を当初、岩手、宮城、福島3県と市町村で計220億円程度と見込んでいた。被害の大きい地域ほど負担感が増す不公平感があり、「低く抑えられた」(村井嘉浩宮城県知事)「残念な結果」(達増拓也岩手県知事)など評価と懸念の声が交錯していた。

岩手、宮城、福島3県の地元負担額(単位は億円)〔注〕負担見込額は各県まとめ。宮城は一部の自己負担額が算出できていない。1000万円未満は四捨五入
宮城県内被災市町などの地元負担額(単位は億円)〔注〕負担見込額は県まとめ。―は負担なし。1000万円未満は四捨五入

[復興事業の地元負担]2015年6月の政府の復興推進会議で決定した。16~20年度の「復興・創生期間」の事業費を6兆5000億円程度見込んだ上で、一部事業で地方負担分の5%(各事業の1・0~3・3%)の自治体拠出を求めた。対象は復興交付金の効果促進事業や社会資本整備総合交付金事業(復興枠)など。基幹的事業や東京電力福島第1原発事故に由来する事業は全額国費を継続した。

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