河北抄(4/13):作家の藤原智美さんの『人として生まれたか…

 作家の藤原智美さんの『人として生まれたからには、一度は田植えをしてから死のうと決めていました。』を、この長いタイトルに引かれて手にした。副題もあって「米をつくるということ」。
 新潟県の魚沼地方。そこの棚田を借りて、無謀にも、無農薬で、コシヒカリの栽培に挑戦した楽しい本だ。田植えは大勢で手で植えた。それは「雑念のない、ちょっとした瞑想(めいそう)のひととき」。
 素足で田んぼに入る感触は「マヨネーズの中に足を突っ込んだ感じ」。ぬるぬる、ずぼずぼ、むにゅむにゅ。藤原さんは「泥の快楽だ。おまけに、ひんやりと冷たくて心地よい」と書いている。
 さて、宮城県内では、コメ農家は種まきを終えて、やわらかな幼い苗をビニールハウスで大切に育てている時季。田んぼは春の田起こしを終えて、用水路に水が来るのを待ち構えている。
 ぬるぬる、ずぼずぼ、むにゅむにゅ。藤原さんの本を読みながら、田植えのそんな感触を長く忘れていたのに気が付いた。ことしは知り合いの農家で田植えを手伝おうかなあ-などと思っている。

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