社説(4/17):ヤングケアラー/社会全体で関心と支援を

 「ヤングケアラー」と言われる子どもたちへの支援の必要性について、社会的な関心が高まりつつある。本来、大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っているため、自らのやりたいことができない、などの境遇にある子どもたちだ。
 今月発表された厚生労働省、文部科学省による初の実態調査結果では、中学2年生で5・7%、高校2年生で4・1%の生徒が「世話をしている家族がいる」と回答。計算上はクラスに1人か2人はいることが明らかになった。家族の世話をしている子ども全てが「ヤングケアラー」というわけではない。ただ、その負担のため、勉強などに影響を来してしまえば、本人の人権を侵害することになる。
 両省は合同で3月にプロジェクトチーム(PT)を設け、5月までに対応策をまとめるが、それぞれの地域でも自治体や学校、福祉関係者らが連携した枠組みづくりが求められる。
 「ヤングケアラー」には現在、法律上の定義はない。日本ケアラー連盟は具体的な例として「障害や病気のある家族に代わり、家事をする」「幼いきょうだいの世話をする」「障害、病気のある家族の看病、介護」「家計を支えるための労働」などを挙げる。
 調査結果では、中学、高校のどちらも、世話をする家族の対象は幼いきょうだいが多く、半数以上は特に苦労を感じていないとしている。一方で、家族らの世話をほぼ毎日担っている子どもは3割以上おり、1日7時間以上費やしている例も1割以上あった。
 子どもからは「自分の時間がない」「勉強時間が取れない」という声や、「進路を変えた(変えざるを得ない)」という悩みも出た。
 本来、福祉や医療、介護など公的な支援が必要とされる人が、家庭内の問題として子どもの負担となり、健全な成長に影響を与えてしまう。
 PTの会議では、有識者から「家族が助け合うのは良いこと、と美談として捉えられがち」との指摘が出され、「子どもが家族の役に立とうとするのは良いことだが、自分のことができなくなるまでケアを引き受けすぎないよう、家族の外の人が負担軽減を真剣に考えるべきだ」と支援の必要性が強調された。
 PTはヤングケアラー支援に向け(1)早期発見・把握(2)支援策充実(3)社会的認知度の向上-を課題に挙げる。
 地方自治体では、埼玉県がいち早く2019年にケアラー支援条例を制定し、20年には支援計画を策定した。教師らへの研修や、教育機関と福祉部門の連携などを通し、学校や地域での支援体制構築を掲げる。
 政府の対応策に合わせ、各地域が実情を把握しながら、行政だけでなくNPOなども加わった地域社会全体で、子どもや家庭を孤立させない取り組みが急務だ。

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