社説(4/18):消防団員の処遇改善/優先度を上げ措置を急げ

 総務省消防庁は費用弁償の性格が強い消防団員の出動手当を「報酬」に見直し、出動1日当たり8000円、年額報酬3万6500円とする基準を全国の自治体に通知した。命懸けの任務だけに処遇の改善は当然である。減少に歯止めがかからない消防団員の確保に結び付けてほしい。

 火災や風水害で出動した際に支払われる手当の平均額(2020年4月時点)は1回につき、一般市が2780~2810円、町村が3040~3090円にすぎない。

 地方交付税算定単価の7000円を大きく下回る。その理由として(1)予算上の制約がある(2)費用弁償と定めている(3)団員からの引き上げ要望がない-などが挙げられる。

 団員の処遇改善に向けて消防庁が20年12月に設置した検討会は4月、類似の業務を担う他の公務員の報酬・手当を参考に、災害で出動した場合は1日当たり7000~8000円程度が適当だとする中間報告をまとめた。

 団員1人当たりの年額報酬は、現在の地方交付税単価の3万6500円(平均額3万925円)を標準的な額とした。出動報酬、年額報酬ともに団員個人への直接支給を徹底すべきだと言及した。

 出動手当に関しては8割に当たる1338団体が条例上、費用弁償と位置付けている。国が1965年に示した条例のたたき台に倣ったからだ。消防庁は報酬の基準を来年4月から適用するよう、市町村に条例の見直しを要請した。出動報酬の創設は、団員の処遇の在り方を変える大幅改正と言える。

 国内では近年、至る所で大災害が発生している。消防団の出動回数は2010年からの10年間で約1割増え、68万5499回に上った。特に風水害は2・5倍の1万114回に膨れ上がっている。

 東北に限っても、11年3月の東日本大震災をはじめ、同年7月の新潟・福島豪雨、岩手県を中心に被害が出た16年8月の台風10号豪雨、宮城県南を襲った19年10月の台風19号災害などが起きている。

 消防団員は過酷な環境や危険を顧みず、救助や避難誘導に当たる。震災で犠牲になった団員は、岩手、宮城、福島3県で254人に上る。到底、ボランティア精神や費用弁償で賄える業務ではない。

 一方で団員数は減少の一途をたどっている。残る記録では、1954年に約202万3000人でピークに達した。2020年は約81万8000人で、この30年だけでも約17万8000人減った。

 検討会は今後、消防団の社会的評価の向上策・広報の充実化、訓練の在り方の見直しといった事項を議論し、今年夏までに一定の結論を出す。

 災害の多様化・激甚化を考慮すれば、地域防災力を下支えする消防団員の存在は欠かせない。自治体も対策の優先度を上げ、一刻も早く直面する課題解決に注力すべきだ。

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