社説(4/22):衆院議員任期残り半年/解散の大義 選択肢はない

 衆院議員の任期満了(10月21日)まで、残り半年を切った。東日本大震災から10年の節目が過ぎた後、にわかに吹いた解散風は、新型コロナウイルス感染拡大の「第4波」にかき消された。もはや収束への確かな見通しなしに、総選挙へと踏み切れる「大義」はないと考えるべきだろう。

 首都圏などに再発令された緊急事態宣言の解除後、自民党幹部からは4月の訪米後解散や東京都議選(7月4日投開票)との同日選への言及が相次いだ。菅義偉首相が9月30日に任期満了となる党総裁選前の解散について「当然あり得る」と発言し、波紋は党内外にさらに広がった。

 宣言の解除で、大型連休前に感染が再拡大するリバウンドのリスクは当初から指摘されていた。政局に傾いた後半国会の緩みを突くように、懸念が一気に表面化した形だ。大阪府などへの3度目の宣言発令が迫り、菅首相が夏にかけて解散権を行使できる環境は、ほぼ失われつつある。

 次期衆院選に向け、東北では6県の23選挙区に48人が立候補を準備しているが、街頭などでの活動はコロナ下で大きな制約を受けている。立憲民主、共産両党などによる野党の候補者調整も進んでいない。外出自粛が続き、大規模な集会の開催などを避けざるを得ない中、政策論争が盛り上がる兆しは見当たらない。

 菅首相は当面、新型コロナ対策を最優先させた上で9月に解散し、党総裁選で再選を狙う日程を模索しているとの見方が出ている。東京五輪・パラリンピックの開催は不透明だが、7月23日~9月5日の期間中は難しい。衆院議員の任期満了まで1カ月余の間に、「追い込まれ感」をいかに払拭(ふっしょく)できるかが、政権の命運を左右することになる。

 現行憲法下で25回あった総選挙のうち、任期4年の間に解散せず、満了で迎えたのは三木武夫政権だった1976年の1回のみ。2番目に在職期間が長かったのは、麻生太郎政権による2009年の解散時で3年10カ月。いずれも自民は大敗を喫している。

 村井嘉浩宮城県知事は19日の定例記者会見で「タイミングは難しいが、任期いっぱい務めてから選挙するのが望ましいのではないか」との認識を示した。ワクチン接種の体制づくりを急ぎ、感染再拡大の封じ込めに道筋をつけて選挙を迎える形にならなければ、世論も納得しない。

 12年から20年まで政権を担った安倍晋三前首相は大義を振りかざし、2度の解散に打って出た。14年は消費税増税の延期、17年は少子化克服と北朝鮮対応。4年前に掲げた「国難突破」のフレーズは、まさに現在の状況と言える。

 次期衆院選で最大の争点となるのは、ポストコロナの将来像だ。変容した社会の新たなありようを、与野党の論戦を通じて再構築することが求められる。政治的打算で大義を見誤ってはならない。

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