社説(4/19):「こども庁」創設/縦割り打破へ本気度示せ

 自民党が「こども庁」の創設へ向けて協議に入った。次期衆院選の目玉政策として選挙公約に掲げる方針だ。弊害が指摘されてきた縦割り行政を打破し、子ども関連政策を総合的に担う省庁をつくれるのか。政治の本気度が試される。

 子どもに関する政策は複数の省庁にまたがる。保育園は厚生労働省、幼稚園は文部科学省、認定こども園は内閣府がそれぞれ所管。社会問題となっている児童虐待対策は、法務省や警察庁、厚労省など6省庁が関わり、縦割りでは問題に迅速に対応できないほか、役割や責任が分散するといった問題があった。

 こども庁創設を検討する上で最大の焦点となるのは、子どもに関する施策をどこまで担わせるのかということ。小中高生を含めた幅広い年齢層を対象に、虐待やいじめ、貧困といった幅広い問題にも取り組むことが望ましいが、意見の取りまとめには難航が予想される。

 政府内では3案が検討されているとされ、うち1案は、こども庁を各省から独立した組織として内閣府に新設し文科省が所管する義務教育を移管する。他の2案は、義務教育を文科省所管のままとした上で(1)幼稚園、保育園、認定こども園の所管をこども庁に一元化する(2)内閣官房に「こども政策戦略会議(仮称)」を新設し、その下に担当室を設置する-というもの。

 義務教育の移管は文科省の解体につながりかねないだけに、文教族議員とともに所管業務の死守に全力を挙げるだろう。幼保などの一元化は、業界団体の抵抗が予想されることなどから議論を先送りする声が早くも出ている。

 「こども庁」構想は、十数年前に当時の民主党が公約として掲げ、同党政権時代も検討された。だが、関連法案が膨大になることに加え、省庁の抵抗もあって断念した経緯がある。党内基盤が盤石ではない菅義偉首相がどこまでリーダーシップを発揮できるのかが問われる。

 子どもに関する施策のための財源をどう捻出するのか、必要な人材をどう確保し育成していくのかといった「金」や「人」の問題も避けては通れない課題だ。

 子どもの権利に関して、基本方針や理念を定める基本法の制定も急がれる。1989年、国連総会で「子どもの権利条約」が採択され、日本は94年に批准した。だが、国内法では定めておらず、与党や超党派の議員が議論している段階だ。子どものための省庁をつくるのであれば、子どもの権利をきちんと法律にした上で、セットにして提示すべきだろう。

 各省庁の所管業務に手を付けないままでは、屋上屋を架すことになりかねない。拙速を避け、議論を尽くした上で、国民が子どもの未来を安心して託せるような省庁像を示すことが求められる。

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