気になる症状 すっきり診断(99)命脅かす敗血症/感染症の予防が最重要

イラスト・叶 悦子

◎救急科 古川宗 助手

 感染症は微生物が体内に入って増殖し、さまざまな症状を起こす病気です。細菌・ウイルス・真菌などさまざまな微生物が感染症を引き起こします。例えば、肺に感染すれば肺炎、ぼうこうに感染すればぼうこう炎という病名になります。ひとたび感染症になると、私たちの体は防御反応を起こして微生物をやっつけようと闘います。しかし、時には防御反応がコントロールできず、心臓・腎臓・肝臓・肺といった体の臓器に障害を来すことがあります。これが敗血症です。複数の臓器が障害を受ける多臓器障害になると、生命の危険が生じることもあります。日本では年間約10万人の方が敗血症で亡くなっているといわれています。

 体力や免疫機能が低下している高齢者や、糖尿病などの基礎疾患を持っている方は敗血症になりやすいといわれています。しかし、全ての感染症が敗血症を引き起こす恐れがあり、健康な人でもなり得ます。

■臓器をサポート

 治療は通常の感染症と同様に、原因微生物に対して抗生剤・抗ウイルス剤・抗真菌剤といった薬剤を投与して微生物をやっつけます。これに加えて、敗血症では機能障害を起こしている臓器に対するサポートが必要になります。例えば、肺の機能が低下し呼吸障害が強ければ人工呼吸器を装着します。最重症の呼吸障害には新型コロナウイルス感染症で注目を集めた人工心肺装置「ECMO(エクモ)」を使用することもあります。また、腎臓の機能障害を認めたら血液透析を行います。このように、生命維持に欠かせない臓器機能が回復するまでサポートをしながら治療を行うのが集中治療です。

 敗血症の救命率向上には早期発見・早期治療、そして市民の皆さんの意識向上が欠かせません。敗血症と関わりが深い日本救急医学会・日本集中治療医学会・日本感染症学会が中心となって「敗血症.com」という情報サイトを運営し、市民向けの啓発活動などさまざまな取り組みを行っています。また、9月13日を「世界敗血症デー」と定め、昨年は新型コロナウイルス感染症をテーマに市民公開講座を開きました。

■手洗い、うがいを

 敗血症は生命を脅かす恐ろしい病気ですが、感染症にかからなければ敗血症にはなりません。手洗いやうがいなど、日常生活での基本的な感染予防策を実践することが一番重要です。新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに手洗いをしっかり行うようになった方は、これからもぜひ感染予防の習慣を続けてください。

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