気になる症状 すっきり診断(94)自閉スペクトラム症の子ども/環境、関わり方工夫して

◎精神科 大塚達以 講師

 最近、発達障害という言葉を見聞きすることが多くなってきたように思います。しかし、「聞いたことはあるけれどよく分からない」という方が多いかもしれません。発達障害にはさまざまなタイプがあります。今回は自閉スペクトラム症について説明したいと思います。
 自閉スペクトラム症の基本症状には、大きく二つあります。

■生来の機能障害

 一つは「社会的コミュニケーションおよび相互関係における持続的な障害」という症状です。相手の気持ちを想像することや共感することが難しいため、うまく対人関係をつくったり維持したりすることが苦手なことです。
 もう一つは「限定された反復的な様式の行動、興味、活動」という症状です。興味・関心の対象が限られていたり、スケジュールややり方などにマイルールがあり、同じパターンに固執したりします。そして、そのパターンが保たれていると安心できますが、それが乱されることを嫌がり、「こだわりが強い」と言われることがあります。
 これらの症状は発達早期に認められますが、中には後になってから明らかになる場合もあります。
 自閉スペクトラム症の原因はまだはっきりとは分かっていません。かつては育て方が原因などと言われた時代もありましたが、現在では、生まれつき持った何らかの原因により脳機能障害が生じ、症状を来していると考えられています。
 お友達とうまく付き合えなかったり、好きなことに没頭していたり、思い通りにならないとかんしゃくを起こしたり…、程度の差はあってもそのようなお子さんはいらっしゃると思います。自閉スペクトラム症において、「気になる行動」はたくさんあっても「すっきり診断」とはいかない難しさがあります。ある場面での「気になる行動」について、症状から生じているのか、他の要因から生じているのか、その行動だけから判断することは難しいからです。

■発達歴含め判断

 また、血液検査や画像検査などによって診断することができません。そのため、診断には発達歴なども含め、さまざまな情報を集めて包括的に判断する必要があります。
 自閉スペクトラム症を治すお薬はありませんが、そのお子さんに合わせた環境をつくり、関わり方を工夫することで、症状を弱めたり気になる行動を減らしたりすることはできます。「もしかして?」と思ったら、お子さんの不安が軽減したり情緒が安定したりするような環境や関わり方を考えてみてください。私たち専門家もそのお手伝いができればと思います。

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