認知症状緩和に「笑いの力」 元東北大医師ら「生活の質改善の手段に」

笑いヨガを実践する研究会のスタッフと認知症の人=2018年、仙台市内(写真の一部を加工しています)
宮戸島の仮設住宅で笑いヨガを開いた羽根田氏(左)=14年、東松島市

 笑いを取り入れた「ラフター(笑い)ヨガ」が認知症の症状緩和に効果をもたらすとの実証結果を、医師として東日本大震災の被災者支援などに関わるNPO法人エバーオンワード(仙台市)の羽根田潔理事長(77)らがまとめた。認知症患者の生活改善につながる笑いの力が裏付けられたとして、愛好者は活動の広がりに期待を寄せる。

 実証は2018年、仙台富沢病院(同)に通う認知症の73~89歳の男女32人を対象に実施。花見や散歩といった場面を想定し、10人が動作を交えて笑い続ける40分のヨガを週1回、通算3カ月間取り組んだ。りらくラフターヨガ研究会(同)が協力した。

 開始前、1カ月後、3カ月後に実証内容を知らない看護師が複数のチェック項目に基づいて認知症の症状を点数化し、ヨガを行わなかった22人と比べた。

 3カ月間の前後で記憶障害など認知症の中核症状に変化は見られなかったが、多動や幻覚、徘徊(はいかい)などの行動・心理症状では笑いヨガをした10人に有意な改善が見られた。「あいさつを返せる」などの歓喜的情動を示す点数も上昇した。

 笑いヨガに興味を示さず、3カ月続かなかった高齢者は対象から除いている。今年の日本認知症ケア学会誌1月号に掲載した報告は「全ての認知症患者に効果があるわけではないが、笑いヨガは生活の質改善の有効な手段の一つになる」と結論付けた。

 羽根田氏は東北大病院で心臓外科医として勤務した後、宮城県東松島市の真壁病院の院長に就任。震災後の11年11月にNPOを設立し、同市宮戸島の診療所で非常勤医師として勤務する傍ら、医療講座などの地域活動に力を入れてきた。

 宮戸島の仮設住宅で13、14年、研究会と被災者向けに笑いヨガを開いた。実感した効果を客観的に示したいと考え、今回の実証を構想した。

 羽根田氏は「落語や漫才で認知症患者を笑わせるのは難しいが、(理由のない)自発的な笑いなら認知症の人でも広がるのではないか」と考察する。

 研究会の佐藤四郎代表(73)は「力強い結果を得た。自信を持って多くの施設で笑いヨガを開き、職員の負担軽減にも寄与できればうれしい」と話した。

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