「人がまるでゲームの中のように簡単に殺されています」
「日本の皆さま、どうか助けてください」
ミャンマーで国軍によるクーデターが発生して5月1日で3カ月。市民の抗議デモに対し、国軍が重火器を使用して弾圧し、700人を超す死者が出ています。
東北には1300人以上のミャンマー人が暮らしています。今、祖国の惨状をどのように受け止めているのでしょうか。その声に耳を澄まし、私たちに何ができるのか考えてみたいと思います。
(編集局コンテンツセンター・佐藤理史)
法務省在留外国人統計(2020年6月末)によると、日本に在留するミャンマー人は3万3303人、うち東北では1335人です。2012年と比べて全国で約4倍、東北では約19倍と、11年の民政移管後、大幅に増えています。
水産加工業などの技能実習生が大半を占めています。制度上は技能の習得が目的ですが、人口減少が進む地方では実質的に貴重な労働力となっています。
東北に住むミャンマー人に取材を申し込んだところ、一切の身元を明かさないことを条件に受けてくれました。「軍に反対する人は逮捕されて、ひどい目に遭わされます。家族や友人に危害が及ぶのが怖いです。自分自身も帰国できなくなるかもしれません」と理由を説明しました。
実際に4月中旬、デモの取材を続けていた日本人フリージャーナリストが治安当局に逮捕、訴追される事案も起きています。
長い軍政から、民政への移管が実現したのは11年。15年の総選挙では、アウン・サン・スー・チー氏が率いる国民民主連盟(NLD)が圧勝し、民主化の定着と経済発展を続けてきました。
「街がきれいになり、車も良くなりました。進出する日本企業が増えて、ミャンマーの雇用に国際的な支援が生まれました。未来に向けて明るい流れが見えていました」
その流れは2月1日、暗転しました。国軍は実質的な国の最高指導者のスー・チー国家顧問兼外相らを拘束し、全権掌握を宣言しました。
「すごく悔しいし、悲しい。民主化が進み、光が当たってきていたのに、元の暗闇に戻ってしまうのが怖い。何もできないことが歯がゆく、悩み苦しんできました」
市民の抗議デモが各地で続いています。デモに立ち、銃口を向けられている市民の多くが、民政下で育った20代前後の若者といわれています。
「自由の素晴らしさや楽しさを感じ、世界に希望や未来があることに気付いた世代です。一度手放したらもう戻らないという気持ちで参加しているのは分かります」
「一方で、もっと命を大切にしてほしいとも思います。SNS(会員制交流サイト)などを通じ、友人らの話を聞いて励ましています。痛みは分かち合っています」
依然として混乱が収束する兆しは見えていません。
「若者たちの命がこれ以上奪われないよう、一刻も早く暴力を止めてほしいです。一国の手に負えない困難に陥っています。国連などが『やめろ』と間に入ってほしいです」
日本政府は政府開発援助(ODA)などの人道支援を通じ、国軍に独自のパイプを持つと強調してきました。市民弾圧に「強い非難」を示しつつも、制裁はODA新規案件停止の検討にとどまっています。
「(日本政府は)暴力を止めるため、傍観せずに思い切ったことをやってほしいです。近年は一緒に経済特区をつくって関係を築いてきました。利益がある時だけ付き合って、利益にならない時は見捨てるのか、という気持ちになっています」
クーデターの影響で生活物資に困窮するミャンマーの市民を支援しようと、NPO法人宮城・ミャンマー友好協会(仙台市)は寄付を呼び掛けています。
協会は13年に設立され、約70の個人と法人の会員がいます。これまで小学校を建設し、現地の児童に文房具を届けるなどの交流を続けてきました。コロナ禍で困窮する私費留学生の支援にも取り組んでいます。
加藤重雄事務局長は「信頼できる確実なルートで困っている人たちに届けます。こういう時にこそ手を差し伸べ、寄り添っていきたいです」と話しています。
連絡先は宮城・ミャンマー友好協会090(2601)9761。
宮城県に在留する他のミャンマー人3人にもメッセージを寄せてもらいました。県内には東北で最も多い542人のミャンマー人が在留しています。日本語訳は宮城・ミャンマー友好協会にお願いしました。
▼男性
「私が日本の政府に訴えたいのは、ミャンマーを助けてほしいということです。クーデターが起こり、抵抗する国民は仕事を失い、生活に困窮しています。
ある地域では、朝から晩まで子どもの泣き叫ぶ声と、銃弾の音が響いています。ある村では、安全を求めて土地や家を捨てジャングルに逃げ込み、食べ物もなく隠れている人がたくさん出ています。都会の町では、ドアを無理やり壊され、連れ去られて行く人がたくさんいます。連れ去られた後は厳しい暴行を加えられます。
日本政府には一日も早く軍の暴挙を止めさせ、平和なミャンマーが戻ることに力を貸してほしいです」
▼女性
「現在、ミャンマーでは外にも出られません。出たら軍に捕まって、持ち物を調べられ、携帯の通信内容を見て銃でたたいたり蹴ったり、ひどい仕打ちをしてきます。家にいても無理やりドアを破って入ってきて、必要なものを持ち去り、壊してしまいます。
ミャンマーの人は仕事もなく、食べ物もなく、デモに参加した方が食べ物がもらえるということで、貧しい人たちは命懸けでデモに出ています。国境近くに住む少数民族(※注)は家を焼かれ、住む家もなく食べ物もない状況に追いやられています。日本の皆さま、どうか助けて下さい」
【注】ミャンマーには135の民族が暮らしています。元々、反政府側に立っていたカレン族はデモ側について武力攻撃を行っています。これに対し、軍は空爆を行い、多くの住民が隣国のタイに逃れる事態となっています。
▼女性
「もしあなたの家に突然軍人が10人やって来て、ドアを開けろ、と言われたらどうしますか? 開けないとドアを壊し、『なぜ開けなかったのか』と殴り、無理やり連行されてしまいます。周りの家からも怖くて誰も助けにきてくれません。じっと隠れているだけです。
人がまるでゲームの中のように簡単に殺されていきます。
今欲しいのは守ってくれること、助けてくれること、それだけです。私たちはそれを待っています」
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