水道「みやぎ方式」って? 民間委託でコスト減 安全性や継続性に不安も

「みやぎ方式」で運営が民間に委託される大和浄化センター=2018年6月、宮城県大和町鶴巣

 宮城県が、水道事業の運営権を民間企業に売却する「みやぎ型管理運営方式」の導入準備を進めています。来年4月の事業開始を目指し、企業グループと基本協定を結びました。私たちの暮らしやなりわいに欠かすことができない水。「みやぎ方式」で水道はどう変わるのか、安全性は担保されるのかどうかなどを考えました。
(編集局コンテンツセンター・藤沢和久)

「みやぎ型」って?

 「みやぎ型」はどんな仕組みなのでしょうか。
 県によりますと、県が保有する上下水道と工業用水の運営を20年間、民間企業に任せます。運営する権利を売却する方式で、上水道では全国で初めてです。
 県があらかじめ水質などの基準を決め、企業は機器類の運転や監視、検査を担います。企業がきちんと運営できているかどうか、専門家で構成する第三者機関と県が確認します。

民間委託の利点は?

 県は水道事業の運営を民間に任せることで、効率運営やコスト削減につながるとみています。水道事業の運営は今後、厳しくなるといいます。高度経済成長期に普及が進んだ水道管などが一斉に更新時期を迎えることに加え、人口減少や節水タイプの機器の普及で水道使用量は年々減る傾向にあるためです。
 県内では25市町村が上水を県から買ったり、下水の処理を県に委託したりしています。水道事業にかかる費用がかさめば、私たちが支払う水道料金に跳ね返ってくる可能性があります。

具体的にどうなる?

 県は4月13日、事業の実現に向けた基本協定を水処理大手メタウォーター(東京)など10社のグループと結びました。グループは20年間で287億円のコストが減るとみています。
 10社には仏の水処理大手ヴェオリア傘下のヴェオリア・ジェネッツ、オリックス、日立製作所、東急建設などが含まれます。仙台に本社を置く橋本店、復建技術コンサルタント、産電工業の3社も加わります。

不安にどう応える?

 県はこれまでにも、多くの事業を民間企業に委託してきました。ただ委託の期間は長くて5年で、次の期間は入札を経て契約を更新しています。
 今回のみやぎ方式は、原則として運営会社は20年変わりません。このため一部の県民からは「競争原理が働かず、効率的な運営の妨げとなる」「県の技術力が落ちてしまう」などの不安の声が上がっています。
 民間委託の是非は、県議会などでもたびたび議論になってきました。市民団体からは「コスト削減の効果がはっきりしない」「安全性や災害発生時の対応が心配」といった意見も出ています。
 県は委託先の企業に運営権を設定する議案を、県議会6月定例会に提出する予定です。県民が持つ疑問や不安に対し、正確かつ丁寧に説明を重ねていく姿勢が県や県議会に求められています。

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