震災10年、悲願のスイッチ版 原発避難犬がモデル「ホーギーヒュー」

27日に発売される「ホーギーヒューwithフレンズ」
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 家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」向けゲームソフト「ホーギーヒューwithフレンズ」が27日(予定)に発売される。開発したのは仙台市宮城野区のゲーム会社ピクセル。2018年に発売したパソコン向けゲームの続編で、開発のきっかけとなった東日本大震災から10年の節目に、同社初の家庭用ゲーム機進出を果たした。
 「悲願でした」
 ピクセルの佐々木英州(ひでくに)社長(46)が言葉に感慨を込める。前作「ホーギーヒュー」は、パイロットの犬のヒューが愛機に乗り込み、侵略者に立ち向かうシューティングゲーム。18年にパソコン、スマートフォン用を発表し、グラフィックや音楽にあふれるレトロな雰囲気も好評を博した。一方で、子どもがより遊びやすい家庭用ゲーム機への進出は当初からの目標だった。
 主人公ヒューにはモデルがいる。ミックス犬のヒューガは、東京電力福島第1原発事故の影響で福島県飯舘村から避難し、家族と離れて保護施設にいたところを、佐々木さん夫妻が里親として引き取った。避難前に飼い主だった男の子との交流は「ホーギーヒュー」のアイデアと続編への原動力になった。
 前作から2年半。スイッチはパソコンと全く異なるシステムのため「ゼロからの作り直し」(佐々木さん)。新型コロナウイルス禍もあり開発に時間を要した。前作は難しめだった難易度にも配慮し、サポートアイテムなど初心者でも楽しめる要素を増やした。
 19年にはクラウドファンディングを実施し、支援者から寄せられたキャラクターを追加。「グラディウスII」など名作ゲームを手掛けてきた作曲家古川もとあき氏が前作に続き音楽を担当するなど、クリエイター陣も豪華だ。佐々木さんは「子どもから大人まで、幅広い世代に楽しんでもらいたい」と話す。
 ヒューガは19年9月に死んだ。震災10年で実現した続編に、佐々木さんは「ヒューガに導かれた」と言う。ヒューと仲間たちは、戦争で焼け野原になった街の復興を目指す。舞台は「エターデイ」。ヒューガが眠る飯舘村をもじった名だ。
 ゲームはかわいらしい見た目だが、テーマには「分かり合えない者同士の共存」という佐々木さんの願いが込められている。
 「分断や差別が震災でもコロナ禍でも繰り返されている。ゲームの中の戦争も、きっかけは擦れ違い。お互いの価値観をせめて認めることで、少しだけ世界が良くなるかもしれない」
 ニンテンドーeショップでダウンロード販売する。2200円。

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