母子寮休止の弊害じわり 事業整理、生活困窮に拍車

休止になった郡山市の母子生活支援施設「ひまわり荘」

 2年前に母子生活支援施設「ひまわり荘」(38戸)を休止した福島県郡山市で、生活に困窮する母子世帯や支援団体が施設の復活を訴えている。新型コロナウイルス禍の影響による失業や減収世帯の増加は全国的な傾向だが、郡山の場合は、市民の懸念をよそに押し進めた事業整理が事態の悪化に拍車を掛けた格好だ。

 市外で暮らす女性は勤め先がコロナ不況で廃業、アパートの家賃が払えなくなって子どもと郡山へやって来た。以前ならひまわり荘への入居を勧められるケースだが、市に紹介されたのは社会福祉協議会の緊急小口貸し付けだった。

 市は施設の老朽化を理由に2018年の12月定例市議会でひまわり荘の廃止条例案を提出。しかし市民と議会が一体となった廃止反対運動に押され、条例案を撤回している。

 その一方で19年度以降の入居募集を停止し、入居世帯には市営住宅への転居を求めた。市議の一人は「市民の意思を無視したあまりにも強引な手法に開いた口がふさがらなかった」と当時を振り返る。

 ひまわり荘を事実上閉鎖した直後には、市営住宅に転居した母子世帯で児童虐待が発覚し、児童相談所が介入する事案も発生した。事情を知る関係者は「市は職員の見守り支援は続けるとしていたが、一瞬で破綻した」と話す。

 市は昨年4月、一人親世帯の新たな支援策で「県内外に設置されている母子生活支援施設の広域活用」を打ち出してもいる。

 「翻訳すれば、困窮世帯は市外に行けと言っているに等しい」。母子世帯を支援するNPO「しんぐるまざあず・ふぉーらむ・福島」(郡山市)の遠野馨理事長は怒りもあらわ。実際、最近は仙台市の施設にまで受け入れを依頼する事例が増えたという。

 ひまわり荘を管理する市こども家庭支援課は「制約の多い施設への入居を嫌がる世帯もあり、地域に溶け込む方法が望ましい。母子世帯には市営住宅の優先抽選枠も用意している」と説明する。

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