病床使用率9割超の福島 崩壊寸前、疲弊する医療現場

竹田綜合病院の食堂。アクリル板が設置され、黙って食べることを促す案内もある

 新型コロナウイルスの感染が急拡大している福島県で、医療現場が逼迫(ひっぱく)している。県独自の非常事態宣言を発令した14日の確保病床使用率は90・6%に達した。関係者からは地域医療の崩壊を危惧する声が上がる。

 県内では4月下旬以降に新規感染者が急増。県が469床確保した病床は14日時点で425床が埋まる。内堀雅雄知事は「通常の医療をも圧迫し、救える命も救えないほど深刻な状況」と危機感をあらわにする。

 新規感染者の入院先は広域で調整し、数日かかるのが実情。入院待ちの間に病状が悪化し、自宅から救急搬送されるケースもある。病床に余裕がないためコロナ以外の手術などが延期されたり、救急患者の受け入れが困難になったりといった支障が出ているという。

 県は大型連休明けに基礎疾患がある場合でも軽症者はホテル、無症状者は自宅での療養を促す対応を取った。

 重い症状の患者が増えている会津若松市の竹田綜合病院は、県の要請で感染者病床を20床から30床に増やした。人数や技量、経験を勘案しての医師、看護師の配置に苦慮する。

 感染防止のため自宅に帰らずホテルに泊まるスタッフもいる。「医療の最前線の苦労が地域に伝わっていないのがつらい」と同病院の職員。「私たちはやれることをやっている。市民も市中感染を減らすよう、できることをやってほしい」と訴える。

 郡山市の太田西ノ内病院では2月に院内クラスター(感染者集団)が発生。勤務する看護師は「地域医療が足元から音を立てて崩れていくのを実体験した。コロナ禍で医療機関(の機能)が破綻したら(コロナと関係のない)多くの患者さんの命も危うい」と警鐘を鳴らす。

 同病院は最終的に入院患者や職員計173人が感染した。クラスターの収束まで約2カ月を要し、今月6日に一般外来・入院の受け付けを再開した。新保卓郎病院長は「地域の中核病院としての使命を果たす」と語るものの、前述の看護師は「疲弊して職場を去った同僚もいる。現場で働く者の実感としては、医療崩壊に片足を突っ込んでいると思う」と話す。

 コロナ患者用に24床を備えるいわき市医療センターの担当者は「昨年と比べて患者数などのレベルが全く違う。変異株のまん延も進んでいると感じる」と先行きを懸念する。

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