足なし幽霊画 応挙の真筆 弘前の久渡寺所蔵、国内初確認

真筆と認定された「返魂香之図」(保存修理報告書から)

 青森県弘前市の久渡(くど)寺が所蔵する幽霊画「返魂香之図(はんごんこうのず)」が、江戸時代の絵師円山応挙(1733~95年)の真筆であることが市文化財審議委員会の調査で分かった。応挙が描いたとされる「足のない幽霊」のうち、公的に真筆と認められた国内初の作品となる。

 応挙の幽霊画で真筆と鑑定されているのは、米カリフォルニア大バークリー校付属美術館にある76、77年ごろ制作の1枚が唯一とされていた。史料的価値が高まったとして、弘前市教委は市有形文化財に登録することを決めた。

 市教委によると、箱に入った図説やふた書きに「応挙作」「弘前藩家老森岡主膳(35~85年)が84年に寄進した」といった記載が残る。市内にある主膳の菩提(ぼだい)寺の過去帳や墓石などを調べた結果、記載と矛盾する点はなかった。

 バークリー校付属美術館の幽霊画と制作年が近く、髪や衣装の描写、構図も極めて似ている。審議委は「応挙の他の美人画と比べても全く遜色がない」として真筆と判断した。

 主膳は、天明の飢饉(ききん)の責任を問われて罷免され、85年に自害した。81、82年に相次いで亡くなった妻と愛人をしのんで幽霊画を発注し、自刃する前に奉納したとも考えられるという。

 久渡寺は毎年、旧暦5月18日に幽霊画を開帳しており、今年は6月27日に公開予定。8月13~15日にも特別開帳を行う。

関連タグ

河北新報のメルマガ登録はこちら

企画特集

先頭に戻る