戦前の仙台市街地 パノラマで写す 市博物館に寄贈、初公開

 仙台空襲(1945年7月10日)によって焼失する以前の仙台市の市街地を写した貴重なパノラマ写真が見つかった。市博物館(青葉区)で開催中の企画展「開館60周年記念祭 たっぷり わくわく 名品尽し」で初公開されている。太白区の愛宕山から一望したモノクロの1枚。博物館は「戦前のパノラマ写真は非常に珍しく、資料的価値が高い」と話している。

戦前の仙台市街地を写したパノラマ写真
愛宕山から見た現在の仙台市街地

 写真は縦約10センチ、横約55センチ。秋田市出身で川崎市在住の郷土史家山口醇さん(86)が同館に寄贈した。戦前に仙台で働いていた山口さんの父親(故人)が、写真を所有していた友人(同)から額装された状態で贈られたという。

 画面下を流れる広瀬川の手前に、現在はない広い敷地を持つ住宅が並び、人影が見える。

 対岸には緑豊かな仙台の街並みが広がる。中央部に東北帝大と仙台高等工業学校(ともに現東北大)、東北学院大などの建築物、右に荒町小の木造校舎、35年に鉄筋コンクリート化された愛宕橋が写る。左端には大崎八幡宮の森、その奥に七ツ森(宮城県大和町)と、遠景まで捉えている。

 撮影者と撮影時期ははっきりしない。博物館では「スパイ活動防止の観点から撮影の規制が厳しくなる前となる、35~40年の秋ごろに撮られたのでは」と推測する。

 愛宕山は戦前から仙台城跡と並び市街地を一望できる名所だった。絵はがきが多数残っているが、パノラマ写真はほとんど残っていないという。

 会場では写真を拡大し、明治元年の城下絵図と並べたパネル(縦約80センチ、横約60センチ)を展示している。山口さんは「人物が確認できるほど画質が良い。私が持っているより博物館でしっかり保管、活用していただくことが適切だろうと考えた」と話している。

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