富岡産大麦、ビールに 東北大大学院が今夏試作品

大麦の出来栄えを確かめる山本さん(左)と本間教授=2日、富岡町

 東北大大学院農学研究科作物学研究室は、福島県富岡町産の大麦を使用したビール醸造に乗り出した。新たな町の特産品に育て、東京電力福島第1原発事故により全町避難を経験した同町の農業復興を後押しする。今夏にも試飲用のビールが完成する見込みで、同研究室は「大麦栽培からビール醸造、販路開拓も含めたビジネスモデルを確立したい」と意気込む。
 昨年11月、同研究室で学ぶ町出身の山本修平さん(26)の実家の耕作放棄地約50アールを借り、栽培を開始。気候が近い栃木県のビール用大麦「ニューサチホゴールデン」など6種類の種をまいた。月に数回、研究室のメンバーらが町に通い、寒さに強くなるなどの効果が期待できる麦踏みを行ってきた。
 今月2日に想定の倍の約2トンの大麦を収穫。同研究室の本間香貴教授(49)は「ビール用の大麦栽培は東北では(気候の面で)難しいと言われていた。春先の霜や雨の影響も心配されたが、思ったよりも出来が良い」と笑顔を見せた。
 今後、研究室で麦芽にした後、宇都宮市の醸造所でビールを醸造。約1カ月で試作品が完成する予定で夏ごろにもお披露目される。
 町の避難指示は一部を除き2017年春に解除された。町は30年度までに約280ヘクタールの営農再開を目指しているが、21年度の作付面積は約120ヘクタールにとどまっている。
 本間教授は「営農再開や新たな特産品づくりへの選択肢を提供したい」と抱負を語る。今後、大麦を中心とした輪作体系を提案するため、大豆やアマランサス、ソバの栽培を予定している。
 山本さんは「町の農業復興に向けて、研究で得られた知見に加え、町出身者という強みを生かして町の伝統や歴史、風土に合わせた提案をしていきたい」と話す。

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