ホタルの清流、住民ら水質悪化懸念 登米にバイオマス発電所計画

バイオマス発電所の建設予定地。環境への影響に住民が不安を募らせる=登米市東和町米谷平倉

 宮城県登米市東和町の景勝地「三滝堂」の近くにバイオマス発電所の建設計画が持ち上がり、地域住民らが清流の水質悪化を懸念している。発電所からは1日100トン以上の処理水が放出される見込みで、周辺に生息するゲンジボタルなどへの影響も危惧する。

 事業を企画する都市開発研究所(東京)によると、発電所は同市東和町米谷平倉の山林に建設する。用地約2万平方メートルは市内の建設会社から購入した。食品の残りかすから発生するメタンガスを燃料に発電し、発電出力約2000キロワット。年間発電量は一般家庭約4000世帯分に当たる1万5000メガワット時を予定する。

 原料に必要なかすは1日80~100トンで、宮城県内を中心とした食品加工工場などから集め、発電所敷地内に運ぶという。かすの処理などに伴う排水が1日約113トン見込まれ、近くの南の沢川に放出する計画だ。

 南の沢川はゲンジボタルやカジカガエルの生息地域。住民側は排水による周辺の生態系、川沿いに広がる水田の水稲の生育への影響を懸念する。

 南の沢川の水量は季節により変化する。特に夏季の渇水時期は、発電所からの排水量が川の水量を上回ることが予想され、排出された水が流れずに滞留する可能性も指摘されている。

 放出地点から約1・5キロ下流で大関川と合流する付近に位置する「三滝堂ふれあい公園」には、清流を求め年間数万人の市民らが訪れる。下流には上水道の取水地もあり、水質の悪化を危惧する。

 放出地点となっている相川地区自治会長の斎藤政孝さん(71)は「清流の上流への放出は受け入れられない」と計画に反対する。

 都市開発研究所は昨年9月とことし3月、地元説明会を開いた。担当者は取材に対して「排水の水質は、農林水産省が定めた水稲の農業用水の基準をベースにするが、よりきれいな水準を達成できる。地域住民の理解を得るため努力する」と話している。

事業の主体、判然とせず

 地区住民が登米市東和町のバイオマス発電所の建設計画を不安視する背景には、事業の主体が判然としないこともある。排水の問題だけでなく、万が一事故が起きた場合、責任ある対応が取れるのかとの疑念は消えない。

 事業者側が地区住民に示した事業実施体制のチャート図には、業務の委託先の企業や団体が記されているが、事業主体は明記されていない。

 窓口となっている都市開発研究所の担当者は取材に対し「うちは事業の企画を担当している。別に設立した特別目的会社(東京)が運営主体になる」と話す。ただ、特別目的会社の名前はチャート図には書かれていない。

 食品の残りかすを使ったバイオマス発電所を巡っては、2018年2月に静岡県御前崎市などで稼働前に事故を起こすなどのトラブルも報告されている。

 地区住民の男性(40)は「発電所を運営する団体がはっきりしないこと自体が不自然。事故があった場合、泣き寝入りすることになりかねない」と不安を口にする。

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