山形 電池バレー構想 体制刷新へ調整続く

運営方針に関する協議が続く山形大xEV飯豊研究センター

 山形大が一時、閉鎖を検討したリチウムイオン電池研究拠点「山形大xEV飯豊研究センター」(山形県飯豊町)の機材を飯豊町へ無償譲渡してから、30日で1年となる。譲渡前から町や大学などが進める今後の運営に関する協議は継続中。町は複数の企業や県外の大学との提携も視野に、新体制での再出発に向けて調整を重ねている。

 センターは、蓄電関連産業の集積を見据えた「飯豊電池バレー構想」の中核施設。これまでに町は一連の構想に33億円以上を投資し、山形大、山形銀行と3者協定を結んで事業を展開してきた。

 町など複数の関係者によると、山形大がセンターで担う役割は今後、構想の開始当初に比べ大きく縮小するのが確実な情勢だ。後藤幸平町長は研究の実用化を目指し、他の企業や大学も加えた「地域共同研究センター」(仮称)として組織を再構築する意向を示す。

 人事や費用負担などの交渉が水面下で進んでいるとみられ、町は近く町議会に結果を報告したい考え。後藤町長は「組織を整理し、しっかりと運営してもらえる人を置く」と説明する。

 山形大は構想に基づく今後の具体的事業を明確にしていない。玉手英利学長は3日の定例記者会見で、3者連携を続ける方針について「全く変わっていない」と強調した上で「(構想を)どう進めるかは十分に検討が必要だ」と述べた。

 センターは山形大が8億円、町が7億円を投じて2016年に完成。大学側は共同研究する企業の撤退が相次いだため19年末に閉鎖方針を町へ伝え、反発を受け撤回した。20年6月には機材約70点など所有分の全てを町に無償譲渡し、町議らから構想の進展を不安視する声が上がった。

 現在は町が土地と建物、機材を所有する。建物を年1000万円の10年契約で大学に貸し、譲渡された機材を町内のベンチャー企業「セパレータデザイン」に無償で貸与している。町は、新体制への移行が決まれば各契約を見直す必要も生じると見込む。

 構想に沿い、仙台市青葉区の学校法人「赤門学院」が町の補助を受け、センター隣に電気自動車の技術者を養成する専門職大学の整備を進めている。22年4月の開設を予定し、文部科学省が今年8月末までに認可を判断する見通しだ。

 町は専門職大によるセンターの活用も想定する。開学は計画の遅れや新型コロナウイルスの影響で2度延期になった経緯があり、認可の可否や山形大との連携の在り方が注目される。

[飯豊電池バレー構想]蓄電デバイスの研究開発拠点を核として雇用創出や交流人口の拡大、人材育成を目指す地域創生策。山形県飯豊町が山形大、山形銀行と進める。山形大xEV飯豊研究センターを中心に、研究者らの来町に対応するホテルや屋台村を整備した。リチウムイオン電池材料を製造する貸し工場は2022年4月に稼働予定。飯豊町は人口約6500。

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