(5)遠雷や蝶の来てゐる松静か/大峯 あきら(1929~2018年)

 遠く聞こえる雷鳴。奇妙な明るさに包まれている松。それだけが浮き出ているように音もなく舞う蝶(ちょう)。目の前にあるこの静かで微妙な調和の世界を詠みたい。季重なりは問題ではない。蝶を置くことによりその不思議な実在感が出せるのではないか。遠雷の音、松の静、蝶の動。これらの素材は周到に選ばれたに違いない。感情の吐露や物語性を排し、無駄をそぎ、より単純で美しいものを目指す。俳句でなければできないことである。句集『月讀』より。
(永瀬十悟)

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秀句の泉

 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。

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