公立夜間中学 福島県教委が設置支援へ ボランティア団体歓迎

教科書を広げて学ぶ生徒(右)と先生役のボランティア

 福島県教委が、県内の市町村が公立夜間中学校を開校した場合、財政的支援する方針を決めた。開校すれば東北初の公立夜間中学校になる。ボランティアで夜間中を運営する団体からは歓迎の声が上がるが、県教委と自治体の思惑の違いなどから実現は容易ではなさそうだ。

市町村は「県が設置を」

 6月の福島県議会で県教委が明らかにした。公立夜間中設置を決めた市町村に開校準備費用や人件費などの一部を負担するという。今後、設置検討委で詳細を固める方向だ。

 福島市で自主夜間中を運営する「福島に公立夜間中学をつくる会」の代表代行、大谷一代さんは「大きな一歩だ」と喜び、早期の実現を求める。

 同市内で大谷さんらは月4回、ボランティアで授業を行っている。生徒は20~80代。小中学時代に学校で学ぶ機会が少なかった人や外国人、お年寄りらだ。

 カリキュラムはなく、生徒1人に対して「先生」役のボランティアが1人対応し、生徒自身が学びたい教科、分野に取り組む。地図帳を見ながら社会の教科書を音読する人もいれば、新聞記事を読みながら意見を交わす人たちもいる。

 先生役の清野治己さん(75)と生徒の鈴木直幸さん(44)はこれまで約2年間、二人三脚で学びを深めてきた。6月の授業では、若者と孤独を扱った新聞記事などを使い、漢字の書き取りをしたり、思い思いに語り合ったりしていた。

 清野さんは「教えているようでいていつも鈴木さんに教えられているようだ」と話す。

 訳あって「小中学時代は十分に勉強ができなかった」と言う鈴木さん。「自主夜間中に出会って前向きになれた」と話す。造園や板金などの仕事をしていた際、漢字や計算が苦手だと感じていた。答えのない清野さんの授業を楽しみに郡山市から通う。

 2010年8月から活動を始めた同会は、これまで県教委や福島市に公立夜間中の設立を求めてきた。15年からアンケートを行うなど前向きに検討してきた県教委だが、設置主体をあくまで市町村に求める。

 福島市は、対象生徒は同市だけに限らないとし「県が設置すべきだ」との立場だ。

 大谷さんは「学びの場が必要な人は孤立しがちなのが現状。社会にその声が届きにくい」と語り、夜間中学の存在の必要性を訴える。

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